2014 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動計測によるワーキングメモリの注意制御機構と発達的変化の検討
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14J01628
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 美由紀 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ワーキングメモリ / リーディングスパンテスト / 眼球運動 / 注意制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ワーキングメモリの注意制御機構を検討することである。ワーキングメモリは注意制御の下で情報の一時的な「保持」と,長期的な記憶を用いながら保持している情報の「処理」を行っている。ワーキングメモリ課題として,リーディングスパンテスト(RST)という課題が広く用いられ,課題遂行には注意制御が特に重要と考えられている。 平成26年度は,成人を対象として,標準版RST,保持単語の文内での重要度を操作したRSTの実施・分析を行った。保持単語の文内での重要度を操作したRSTは2種類あり,重要度の高い単語(フォーカス語)を覚えるものがフォーカスRST(F-RST),重要度の高い単語以外の単語(ノンフォーカス語)を覚えるものがノンフォーカスRST(NF-RST)である。NF-RSTは文の処理に重要なフォーカス語と,課題遂行に必要なノンフォーカス語との葛藤が仮定されており,従来のRSTよりも注意制御がより必要と考えられている。 大学生は標準版RSTのスパン(RSTにおいて一度に覚えられる最大の単語数)が3前後であるが,3文条件からNF-RSTにおいてフォーカス語を答えるエラーが増加することが示された。眼球運動の分析の結果は,F-RSTとNF-RSTとでは,保持すべき単語に費やす時間は同程度であった。しかしながら,F-RSTにおけるノンフォーカス語と,NF-RSTにおけるフォーカス語を比較した結果,後者の方がより長く見られている傾向が見られ,文を読んでいる最中の注意の向け方が課題のパフォーマンスに影響している可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であったF-RSTおよびNF-RSTの実験実施と分析を行うことが出来た。また,次年度に計画しているワーキングメモリの発達と注意制御能力についての研究準備も,資料収集や幼児を対象とした実験の見学を通して進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は主に幼児を対象として実験を行う。対象とする幼児は未就学児を予定しているため,ワーキングメモリ課題の中でも文字を読むことを要求するRSTではなく,聴覚呈示のリスニングスパンテスト(LST)を基礎として,注意制御の発達的な変化を検討することとする。
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Research Products
(2 results)