2014 Fiscal Year Annual Research Report
ラウエ結晶多波近似を用いたX線2次元位相コントラスト撮影システムの開発とその検証
Project/Area Number |
14J01634
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呉 彦霖 東北大学, 多元物質科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 2次元位相イメージング / 非対称ラウエ結晶 / X線多波回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶アナライザーを用いたX線位相イメージングでは、アナライザーの性能(空間分解能とX線屈折角度分解能)向上が画質改善の鍵である。本研究では、従来のX線二波回折を用いた結晶アナライザーの替わりに、X線多波回折を利用した結晶アナライザーを用いて2次元(X線がZ軸方向に沿って進むとき、X方向及びY方向の微分位相成分)X線位相コントラスト暗視野撮像法の開発を行った。 非対称ラウエ型アナライザーの設計・製作 多波回折理論を用いて、2次元X線暗視野撮像法用の非対称ラウエ型結晶アナライザーの設計と製作を行った。X線エネルギー35 keVでは、58 micron、170 micron、298 micron等の厚さが暗視野条件に満たすが、高空間分解能を考慮すると結晶の厚さが薄くなるほど、高い空間分解能が得られることで、現在の製作条件により170 micronの厚さを選択した。なお、結晶自体の安定のため、薄い部分の周りの部分の厚さを3 mmとした。縦・横の二波回折により、制作したLaue結晶を評価し、設計とおりに暗視野条件を満たしたことを実証した。 2次元X線暗視野撮像システム用光学パーツの設計・製作 多波回折を利用した結晶アナライザーを有効に利用するには、ビームを水平方向と垂直方向の両方向で平行化するためのコリメーターも必要となり、水平用、垂直用の非対称結晶を用意した。水平用非対称結晶の非対称角度は10.2度であり、垂直用非対称結晶の非対称角度は9.5度であった。X線暗視野光学系全体の安定化するため、回折波の強度変化を測定することによって、システム全体の安定性を測定可能となるフィードバック方式を用意し、フィードバック補正前は20分間あたり8.6%のX線回折強度変化があったものが、フィードバック補正後は2.2%になり、取得データの精確度を向上することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)現在の非対称ラウエ結晶の設計では、移動により結晶が割れるなどの現象があり、実験する前既に割れたことが確認された。 (2)2014年PF BL-14ビームラインの故障で、ビームタイムがなくなり、予定とおりに実験することが困難であった。 (2)2014年10月から東北大学多元物質科学研究所に移動してから、優先ビームタイムを申請する権利がなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)現在の非対称ラウエ結晶の設計では、移動により結晶が割れるなどの現象があり、ホルダー・結晶・ホルダーの三層構造の一体化になった結晶の設計・製作を行う。 (2)垂直方向の非対称結晶コリメーターを光学系に導入し、2次元X線暗視野撮像システムの構築し、その空間分解能と密度分解能を測定する。
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Research Products
(2 results)