2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J01704
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 匡 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | TRP32 / PRL / 酸化還元 / がん転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
TRP32のファミリー蛋白質 TRXでは、特定の蛋白質との結合性が、自身や基質の酸化還元状態に依存して変化する。PRLと TRP32 の結合も同様の性質を持つか調べるために、PRL/TRP32の結合に対する酸化剤や還元剤の効果を検討した。PRL と TRP32それぞれの組換え蛋白質を用いてプルダウン法による結合解析を行い、反応液中への過酸化水素、あるいはDTTの添加の有無によりPRL/TRP32 の結合強度が変化するか調べた。結果、いずれも PRL/TRP32 の結合強度に影響を与えなかった。この事から、TRP32/PRL 結合は TRX と特定の蛋白質との結合に見られる酸化還元状態依存的な結合様式とは異なる様式を取る事が示唆された。次にPRLが生体内においてどのような状況下で酸化されるのかについても検討した。増殖因子や炎症性サイトカインによる刺激はNADPHオキシターゼの活性化を介して膜近傍に活性酸素種を産生させることが知られている。PRLがこのような状況下において酸化されうるのか調べるために、EGFで細胞を刺激した時の内在性PRLの酸化還元状態を調べた。この際、より検出感度の高い酸化蛋白質検出法であるビオチンスイッチ法を用いて酸化PRLの検出を行った。その結果、EGFによる細胞刺激時では酸化PRLと思われるシグナルは検出できなかった。加えて、個体レベルにおけるTRP32とPRLの機能的関連を追及するべく、TRP32遺伝子変異体線虫の単離を開始した。変異体の単離は変異体ライブラリーを用いて行った。この変異体ライブラリーは96サンプルからなり、それぞれのサンプルには多数の遺伝子変異体が含まれている。これまでに一次スクリーニング、二次スクリーニングを終え、目的のTRP32変異体が含まれるサンプルを1つに絞り込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究計画を着実に行い、それぞれの実験において明瞭な結果を得る事が出来た。その中でも特に、TRP32遺伝子変異体線虫の単離においては今後の発展が期待できる十分な進展を得ており、これまでに一次スクリーニング、二次スクリーニングを終え、目的のTRP32変異体が含まれるサンプルを96あるサンプルの中から1つに絞り込むことが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と同様、研究計画に従い着実に研究を進めていく。TRP32遺伝子変異体線虫の単離について、目的の遺伝子変異体が含まれるサンプルをすでに1つに絞り込んでいる。1つのサンプルには複数の遺伝子変異体が含まれる為、今後このサンプルより一個体ずつに分けTRP32遺伝子に変異を持つホモ接合体の単離を行う予定である。その後、得られたTRP32変異体を用いた遺伝学的解析を行う事でPRLとTRP32の機能的関連を追及できることが期待できる。
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