2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子重力理論の構築に向けたゲージ/重力対応の基礎的研究
Project/Area Number |
14J01775
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野﨑 雅弘 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ゲージ/重力対応 / 量子もつれ / 量子重力 / (レニー) エンタングルメント・エントロピー / 量子熱化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はゲージ/重力対応に基づいて量子重力理論を構築し理解することである。そのために、ゲージ/重力対応の基礎的な構造を理解することが重要である。申請者はAdS/MERA対応(ある種のエンタングルメント実繰り込み群の構造がAdS時空の構造に対応しているという予想)にある様に場の理論のエンタングルメントの構造を理解することがAdS/CFT対応の基礎的な構造を理解する上で、非常に重要になると期待している。このため、我々は局所演算子を基底状態に作用させて構成した励起状態に対して(レニー) エンタングルメント・エントロピーの振舞いを調べることで、場の理論においてどの様にエンタングルメントの構造が変化するのかを調べた。この結果、準粒子の伝搬によってエンタングルメントの構造が変化すると解釈できる事を見出した。また、部分系を空間の半分に取った場合、(レニー) エンタングルメント・エントロピーの振舞いは非常に時間が経過した時、強結合の場の理論と自由場の理論では大きく異なるという事を見出した。自由場の理論では非常に時間が経過した時、定数に近づいていき、その定数は挿入した演算子の詳細に依る。一方で強結合の場の理論では最終的に定数には近づかずに対数的に増加するという事を見出した。この結果から(レニー) エンタングルメント・エントロピーの振舞いによって場の理論の分類が出来ることが期待できる。 また、この結果は励起状態や相互作用を含む場の理論におけるMERAの構成に対して非常に有用な示唆を与えると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
局所演算子を基底状態に作用させて構成した励起状態の(レニー) エンタングルメント・エントロピーの時間発展を調べた結果、エンタングルメントの時間発展は量子的にもつれた準粒子の伝搬によって引き起こるという物理的解釈が得られた。これは励起状態や相互作用を含む場の理論におけるMERAの構成に対して非常に有用な示唆を与えると期待でき、重力/MERA対応に基づいて量子重力理論を構成する上で非常に重要な貢献をすると期待できるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって局所演算子を作用して構成した励起状態に対して(レニー) エンタングルメント・エントロピーを調べた結果、自由場の理論と強結合の場の理論ではその時間発展は量子的にもつれた準粒子の伝搬によって解釈できることを見出した。しかし、その一方で(レニー) エンタングルメント・エントロピーの非常に時間が経った時の振舞いは自由場の理論と強結合の場の理論では大きく異なり、強結合の場の理論での振舞いは準粒子を用いては解釈できないという事が分かっている。この様な振舞いの違いがどの様な理由で起こるのか理解するために、弱結合の場の理論で(レニー) エンタングルメント・エントロピーの振舞いを調べることは重要であり、今後、調べていく予定である。また、場の理論のエンタングルメントをもっと深く理解する上で、他の量子的な測定量でこの様な励起状態のエンタングルメントを調べることは重要だと考えられるので、今後、調べて行く予定である。
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Research Products
(10 results)