2014 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1潜伏感染を標的としたAIDS治療薬開発のための基礎研究
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14J01801
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
工藤 恵理子 熊本大学, エイズ学研究センター, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | HIV-1 / 潜伏感染 / COMMD1 / NF-κB / IκB-α / 宿主因子 / 自然免疫 / TLR |
Outline of Annual Research Achievements |
元来、ヒトは病原体の感染に対し、マクロファージおよび樹状細胞などにより認識・貪食・抗原提示することにより、T細胞およびB細胞を活性化し、病原体の排除を行う免疫機構を有している。しかし、HIV-1感染においては、HIV-1アクセサリータンパク質の1つであるNefによりCD4やMHC分子などの膜上発現を抑制し、免疫細胞による感染認識を破綻させることが示されている(Fackier OT et al., Immunity, 2002)。このようなHIV-1による獲得免疫に対する免疫逃避機構により潜伏感染が成立しているが、HIV-1潜伏感染が成立する分子機構としては自然免疫に着目した検討は全くなされていない。これまでの研究により我々は、HIV-1潜伏感染により、自然免疫抑制機構の重要分子の1つであるTLRのリガンド応答が著しく抑制され、TLR下流のシグナル分子であるIκBαタンパク質およびCOMMD(Murr1)の発現が増加していることを明らかにした。しかし、HIV-1潜伏感染株でのIκBαタンパク質の発現増加および安定性の向上における分子機構の解明、さらにHIV-1潜伏感染成立における分子機構の解明には至っておらず不明な点が多い。 本研究では、潜伏感染におけるCOMMD1の機能および発現制御の検討を行った。始めに、潜伏感染細胞株(U1, OM10.1, J-Lat)にsi-COMMD1を処理し、HIV-1の再活性化への影響を検討した。その結果、COMMD1ノックダウンによりHIV-1再活性化が誘導された。以前に報告されたIκBαノックダウンと比較すると、この誘導は弱い効果ではあった。さらに、HIV-1抑制因子として報告されている遺伝子のmRNA発現の比較を潜伏感染株と親株間で行った。その結果、数種の遺伝子において潜伏感染株での発現が誘導されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、HIV-1潜伏感染細胞におけるCOMMD1/Murr1の機能および発現誘導の分子基盤解明を行った。その結果、COMMD1発現誘導により潜伏感染の維持において重要であることを示すことができた。これは、初期感染においてウイルス複製を抑制する因子が潜伏感染においては維持に関与していることで根治を困難にさせている要因の1つであると言える。以上のことから、計画通りに進められたと考え、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
COMMD1の潜伏感染細胞における機能解明は、これまで樹立された潜伏感染細胞株で検討を進めてきた。今後の本研究では、初代培養細胞により潜伏感染を樹立し、潜伏感染におけるCOMMD1の機能解明を行う。更に、COMMD1の発現誘導の分子基盤解明を行うために、プロモーターコンストラクトの作製を行い、発現制御を担う転写因子の同定を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] COMMD1/Murr1 reinforces HIV-1 latent infection through IκB-α stabilization.2014
Author(s)
Taura M., Kudo E., kariya R., Goto H., Matsuda K., Hattori S., Vaeteewoottachrn K., McDonald F., Suico MA., Shuto T., Kai H., Okada S.
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Journal Title
Journal of Virology
Volume: 89(5)
Pages: 2643-2658
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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