2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J01846
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳川 信 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | モデル理論 / モデル随伴 / 微分体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Moosa氏とScanlon氏の結果である次の定理「定理 有限自由代数スキームDに関するD-体の理論はモデル随伴を持つ.」はこれまでの先行研究で得られている結果を,いくつか包含する形で一般化されている.言い換えると,現在得られている微分体や差分体の理論がモデル随伴を持つといういくつかの結果はこの定理の系として導かれるのである.しかしこの定理は万能ではない.つまり,ある微分体の理論でそれがモデル随伴を持つということがMoosa-Scanlonの定理からでは導けないものが存在するのであるのである.本研究における第一目標はこのギャップの解消することである.具体的には,有限代数スキームDに対してどのような変形を施したD’に対するD’-体の理論が再びモデル随伴を持つかということである. 今年度は増岡氏と共同研究である反復q差分環に対するPicard-Vessiot理論を元に反復q差分体の理論IqDFがモデル随伴を持つかという問題に取り組んだ.この理論がモデル随伴を持つかどうかの問題は先のMoosa-Scanlonの定理の適応範囲外であるため,得られる結果は研究目標の解明に繋がる.反復q差分作用素は互いに非可換な1つの差分作用素と無限個の微分作用素からなるのだが,増岡氏との共同研究を元に実は,標数0において反復q差分体の理論は,互いに可換な1つの巡回的差分作用素と1つの微分作用素からなる理論DFC_Nと本質的に同じであるということがわかった.これにより,DFC_Nがモデル随伴を持てばIqDFもモデル随伴を持つことが判明した.さらにDFC_Nがモデル随伴を持つということも証明可能であるという確信を得るまでに至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は指数関数をある微分方程式の解として捉え,その解を添加した微分体の理論を研究することを目的としている.現在は反復q差分体の理論についてそれがモデル随伴を持つかということに着目し,またその一般化を試み,より一般的な状況を考察しようとしているところである.この研究も概ね順調に進んでいると思われ,当初の研究課題に向けて次の段階に移行している段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果はガロア群を用いた記述がなされているため,このままではMoosa-Scanlonの定理との関係が分かりづらい.したがって,目標達成のためにはこの結果を幾何的な記述で表す必要がある.これについてはいくつかアイデアがあり,現在それを元に研究を進めている.
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[Presentation] 差分体のモデル理論2014
Author(s)
柳川信
Organizer
数学基礎論若手の会
Place of Presentation
鳥取市サイクリングターミナル砂丘の家,鳥取
Year and Date
2014-11-19 – 2014-11-21
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