2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパにおけるジプシーの「統合」の可能性と限界に関する文化人類学的研究
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14J01847
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
左地(野呂) 亮子 京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 文化人類学 / ジプシー / ヨーロッパ / 統合 / 政策 / マイノリティー / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フランスのジプシー/移動生活者を主な事例として、ヨーロッパにおけるジプシーの「統合」の可能性を明らかにすることである。 1.調査研究 最終年度となる今年度は、①ドイツとスイスにも調査地を広げ、フランスの事例との比較分析のための資料と情報の収集を行った。ドイツ/スイスのスィンティ/マヌーシュとフランスのマヌーシュは、共通した歴史的背景をもつジプシー下位集団であるが、今年度の調査では、各国での国民国家の形成・展開の影響を受けたジプシーの生活様式・社会的文化的同化の歩みの違い、また「ジプシー」という「民族/人種」をめぐる当事者の認識や多数派社会のまなざしの差異と共通性を確認することができた。②フランスでは、ポー地域およびコルシカ島に暮らすジプシーを対象にインタビューを実施した。ポーでは、人々が「2つの文化を生きる」という言葉を用い、「現在」を語ることがわかった。このことは、定住化のプロセスが安定期に入ったことを意味するが、この安定期とは、定住化を進行させることで定住民となることを意味するのではなく、定住民とは異なる仕方で定住し、マヌーシュ(ジプシー)としての生き方を並存させることを意味する。今後は、こうした人々の新たな生活のあり方と将来への展望がどのような社会的文化的な実践と結びついているのかという点を、これまでの三年間の調査研究で得られた情報を踏まえ分析する予定である。 2.成果の発表 4本の論文を学術誌に投稿し、2つの学会発表を行った。また、博士論文をもとにして、本研究での調査研究で得られた最新の情報を踏まえ、新たに加筆修正を施した単著を刊行することができた。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)