2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J01905
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
植松 良公 統計数理研究所, 数理・推論系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 経済時系列予測 / 高次元時系列 / 再生核ヒルベルト空間 / ファクター / 罰則付き回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の前半は、主に前年度から取り組んできた研究の続きを行った。特に、小樽商科大学の田中晋矢氏との共著で、非凸罰則付き高次元時系列予測モデルの研究に取り組んだ。理論面では最適な予測誤差の上限とモデル選択の一致性を示したほか、実証面では米国の高次元マクロ経済データを用いたGDP予測を考察し、提案手法が既存の結果よりも優れていることを見出した。この論文は現在、Journal of Business & Economic Statisticsからの改定要求を受け、再投稿に向けて修正・加筆中である。この研究に付随し、非凸罰則付き高次元時系列モデルの正則化項の決め方として、クロス・バリデーションが漸近的に機能することをコンピュータによる数値実験で確認した。この結果はEconomics Bulletinに掲載された。
また、昨年度の後半から取り組み始めた、カーネル法による非線形ファクターモデルの研究を福水健次教授の指導のもと進展させた。特に、計量経済学で頻繁に用いられる(線形)ファクターモデルを、無限次元のファクターモデルに拡張し、その(非線形)ファクターの推定量が、正定値カーネルによって導かれるグラム行列の固有ベクトルで与えられることを示した。さらに、その推定量の張る線形部分空間が真のファクターの張る線形部分空間と漸近的に一致することを、ある一定の仮定の下で示した。現在はこの理論の精緻化に加え、この非線形ファクターを用いたマクロ経済データの予測問題を考察している。興味深いことに、今まで予測が困難であると認知されてきたマクロ変数に関しても予測パフォーマンスが改善されるなど、良好な結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、高次元マクロ経済時系列データ予測のために、再生核ヒルベルト空間と正定値カーネルを用いた「非線形ファクターモデル」の構築とその漸近論的理論研究、およびそれを用いた実証研究を進めている。今年度は、モデルの設定と「非線形ファクター」の推定方法を確立したうえで、その推定量の漸近的性質について考察した。さらに、マクロ経済データの予測問題を同時に考察し、良好な結果を得ている。全体としては7割程度は完成しており、今後の近い段階での完成が望まれる。
こうしたカーネル法に基づく研究以外にも、高次元経済データに関する研究を進めている。特に、モデルにスパース性を仮定した罰則付き回帰の時系列データの応用に注力している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「非線形ファクターモデル」の理論をより精緻なものにするとともに、その実証分析を進め、論文を完成させる。実証分析では、今までの手法では予測が困難とされてきたいくつかの経済変数に注目し、本研究の提案する手法の有意性を探る。また、ファクターの個数の決め方をどうするか考える。その際いくつかの学会で報告しながら、論文を改良していく。最終的に完成させた論文は、海外専門誌に投稿する。
その他、高次元時系列を扱うためのモデルとして、罰則付き回帰に関する研究も引き続き合わせて行う。
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Research Products
(3 results)