2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J01929
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 武昌 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 情動 / 意識 / 無意識 / 知覚 / 注意 / 神経基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、情動を喚起させるような視覚刺激の意識的/無意識的な処理の神経基盤について調べることである。これを成すため、まずは心理学実験を実施し、その後心理実験の結果をもとにして脳機能計測実験を実施する。1年目は心理学実験に焦点をあてて研究を行った。 初年度は、情動刺激の意識的な視覚処理によって引き起こされる知覚処理資源の搾取の影響が視覚処理を高める他の要因によってどのように変容するかについて検証した。この研究を遂行するため、International affective picture system (IAPs)を用いて情動を操作し、報酬連合学習を用いて視覚処理を高める他の要因を操作した状態で実験を実施した。 高速視覚逐次提示(rapid serial visual presentation : RSVP)課題中に課題非関連な情動刺激を提示すると、その直後(200ミリ秒後など)に提示される標的刺激の認識が著しく低下する。この現象はEmotioninduced blindness (EIB)と呼ばれている。このEIBは情動刺激の意識的な処理が他の処理を抑制するために生じると考えられているが、先行研究ではRSVP課題の標的刺激を中立刺激で行っていたため、効率的に処理される視覚刺激が標的刺激の場合においてもこの情動の妨害効果が生じるか否かはわからなかった。本研究では、RSVP課題の標的刺激を報酬と連合させ、その報酬と連合した標的刺激がEIBの効果をどのように変容させるかについて検証した。結果として、標的刺激が報酬と連合していた場合、EIBは観察されなかった。そのため本研究では、情動の意識的な処理によって引き起こされる知覚処理資源の搾取は、報酬のような視覚処理を高める要因によって抑制されることを示唆する。 この研究成果は論文としてまとめ、専門誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、情動の意識的な処理についての重要な心理学的知見が得られ、来年度実施する予定の心理学実験、及び脳機能画像計測実験を行う上での重要な基礎を作る事が出来た。また、本年度実施した研究成果が第一著者として国際誌に掲載された。従って、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方針として、両眼視野闘争のような意識的気づきや無意識知覚を操作できるような心理学実験の手法を用いて、情動処理が意識的気づき、及び無意識知覚にどのように影響を与えるかについて検証する。まずは心理学実験にて、信頼性及び妥当性が高い知見が得られるような実験パラメーターの設定を行った後、脳機能画像計測実験を実施する。これにより、情動処理が影響を及ぼす意識的気づき、及び無意識知覚に関連する脳領域ネットワークを明らかにしたい。
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Research Products
(4 results)