2014 Fiscal Year Annual Research Report
次世代高性能計算機に向けたネットワーク指向ストレージシステムの研究
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14J01967
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大辻 弘貴 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ストレージシステム / ネットワーク / 冗長記録 / ネットワークRAID |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究課題を遂行するにあたって,その基礎となる要素技術の研究開発を実施した.本課題は,高信頼かつ高性能な次世代のストレージシステムの構成を提案するものであり,その実現にあたっては多くの革新的な技術が求められる.特に,信頼性と性能を高度に両立することは重要な課題である.本研究においては,ストレージが能動的にデータ処理を行うActive-storage技術を応用し,高性能なネットワークRAIDシステムである「Cluster-wide RAID」を提案した.このシステムは,データ転送及び処理の経路を最適化することにより,信頼性を高めるための冗長化処理を行いながらも,データ保存の性能が低下しない特徴を持つ.このシステムを,遠隔メモリダイレクトアクセス(RDMA)機能を有するネットワークを用いたクラスタ上に実装した.実装にあたっては,RDMAを最大限に活用し,転送バッファメモリの再利用やコピー回数の削減など,一般にネットワークプログラミングで性能低下を生じる部分について重点的に工夫を行った.この実装を評価した結果,期待した通りの性能が得られることを実証した.評価結果において,冗長書き込みを行った場合の性能が,通常通りの書き込みの場合と比較して全く遜色なかったことは,特筆すべき点である.この成果は国際会議や国内研究会において発表を行った.この成果を取り入れることにより,従来困難であると考えられていたストレージシステムの構成が可能となることから,本研究課題を大いに進展させたものであると言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は,最終的に次世代の高性能ストレージシステムの構成を提案するものであり,その目的を達成するために必要な要素技術が極めて重要となる.現時点において,既存技術では困難であった信頼性と性能の両立を達成することが出来たため,研究課題の目標達成に目処をつけることとなり,これは当初の計画を上回る進展であると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
要素技術の研究開発が順調に進展していることから,それらを応用して最終的な研究課題である次世代ストレージシステムの構成に関する提案を具体化する予定である.既存技術との比較検討により本研究課題による提案の優位性を明らかにし,成果を広く発信していきたいと考えている.
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