2014 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルスがコードするDNAポリメラーゼの機能ドメインの詳細な解析
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14J01982
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
成田 洋平 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | Epstein-Barr virus / ウイルスゲノム複製 / ヘルペスウイルス / BAC |
Outline of Annual Research Achievements |
癌ウイルスであるEpstein-Barr virus(EBV)がコードするDNAポリメラーゼのN末端領域にはヘルペスウイルスのDNAポリメラーゼで共通に保存されているアミノ酸モチーフがある。本研究ではこのモチーフに着目し、ウイルスゲノム複製においてどのような意義をもっているのかを明らかにすることを目的としている。 H26年度はこのアミノ酸モチーフの片方(アミノ酸モチーフ①とする)と相互作用する宿主・ウイルスのタンパク質を明らかにすることを目指し研究を行った。得られた結果を以下に示す。(I)N末端領域のアミノ酸モチーフ①への変異の挿入は著しくウイルスDNA合成効率が低下させることを明らかにした。(II)アミノ酸モチーフ①は6アミノ酸で構成されるが、その中からウイルスゲノム複製に特に重要なアミノ酸を決定した。(III)in vitroでは変異EBV DNAポリメラーゼは野生型と同じくポリメラーゼ活性が保持されていることを確認した。(IV)EBV DNAポリメラーゼと相互作用するウイルス複製タンパク質(EBVヘリカーゼなど)との相互作用は、全てにおいて野生型と変異型との間で顕著な差が見られなかった。(論文投稿準備中) 以上の結果は、アミノ酸モチーフ①変異EBV DNAポリメラーゼはin vitroではポリメラーゼ活性をもつが、感染細胞内では何らかの理由によりDNA合成が阻害されていることを表している。またアミノ酸モチーフ①変異EBV DNAポリメラーゼと既知のウイルス複製タンパク質との相互作用は野生型の場合と変わらないことから、ヘルペスウイルスのゲノム複製における新規メカニズムが存在し、そこにアミノ酸モチーフ①が重要なのではないかと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度の研究計画はアミノ酸モチーフ①と相互作用する宿主・ウイルスのタンパク質を明らかにすることを目指し研究を行った。本来の予定では、現時点でモチーフ①と相互作用する何らかの因子を同定済みということが理想であったが、そこまでの解析まで進捗しなかった。 その理由として、因子の同定を目指した免疫沈降法における条件設定が当初予想していたよりシビアであったことが挙げられる。 ただし、既知のウイルス複製因子とEBV DNAポリメラーゼはアミノ酸モチーフ①を介して相互作用していないことが本研究により証明され、それら以外の新規因子がアミノ酸モチーフ①と相互作用しているのだろうと結論づけることができた為、ある程度は研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は昨年度に引き続きアミノ酸モチーフ①と相互作用する宿主・ウイルスのタンパク質を明らかにすることを目指し研究を行う。まず、エピトープタグをEBV DNAポリメラーゼに搭載した組換えウイルスを作製し、これを応用することで、より生理条件に近い状態での解析を行う。また、これまでの研究でモチーフ①と相互作用する因子の同定に向けた免疫沈降法における適当な条件が見出されたので、これに従い研究を遂行する。その後、候補因子がどのようなメカニズムでウイルスゲノム複製に寄与しているのかについて、詳細に迫る予定である。
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Research Products
(2 results)