2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流路デバイスの最適流路創成設計を目的としたトポロジー最適化
Project/Area Number |
14J02008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢地 謙太郎 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 最適設計 / 計算力学 / 数値流体力学 / トポロジー最適化 / 格子ボルツマン法 / マイクロ流路デバイス / マイクロリアクタ / ヒートシンク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マイクロ流路デバイスの最適流路創成設計法の開発を目的として,流体問題を対象とした新しいトポロジー最適化手法を構築する.ヒートシンクやマイクロリアクタといったマイクロ流路デバイスでは,流路形状がデバイスの各性能を大きく左右することから,本研究では流路デバイスを設計する上で基本性能として重要な,圧力損失効率,ヒートシンク等の熱交換器の設計で重要な熱交換効率,マイクロリアクタ等の攪拌器の設計で重要撹拌効率の最大化を目的として,流路形状のトポロジー最適化手法を開発する.これらの方法が確立されれば,数学的および理化学的知見に基づく高性能な流路デバイスの創成設計が可能となる. 本年度はまずマイクロ流路デバイスの基礎的な設計手法を確立するために,圧力損失最小化問題を対象としたトポロジー最適化手法を構築した.将来的に混相流を扱うマイクロリアクタの最適設計手法へ展開することを予定しているため,混相流解析に適した手法として数値流体力学の分野で注目を集めている格子ボルツマン法を用いて流体解析を行う方法論を構築し,流れの状態を決める重要なパラメータであるレイノルズ数の最適構造に対する依存性を検証した.また,提案手法をスカラ輸送問題へと展開し,熱交換効率最大化を目的としたヒートシンクの基礎的な創成設計手法を構築した.なお,これらの最適化手法を構築するにあたり,格子ボルツマン法が完全陽解法であることを利用して,最適化の過程で高速に設計感度を算出可能な新しい最適化アルゴリズムの開発にも取り組み,従来の有限要素法を用いた方法と比較して約十倍程度の高速化を実現することに成功した.また,次年度に二相流問題へ展開するため,二相系格子ボルツマン法に基づく流体解析ソルバの開発に着手し,基礎検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
流体問題を対象としたトポロジー最適化では,各最適化ステップで毎回流体解析が必要であることから,流体解析に費やす数値計算コストの削減は重要な課題である.これに対し本年度は,格子ボルツマン法を用いた新しい最適化アルゴリズムを開発することで,従来の手法と比べ大幅な計算コストの削減に成功し,基礎的な流路設計問題を対象として提案手法の妥当性を検証した.これにより,構築した方法を用いることで,次年度は混相流を扱うマイクロリアクタの設計に加え,大規模問題への展開が十分に可能であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの単層流体を対象として構築した方法論を,混相流を対象としたトポロジー最適化手法へ展開する.また,撹拌効率に加え,スカラー輸送における混合率を評価関数に加えることで,二相の界面が存在する流路における,混合・撹拌・抽出の行程を迅速に完結可能なマイクロ流路デバイスの創成設計手法の開発に取り組む予定である.
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Research Products
(9 results)