2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本の福祉供給スキームの構築に関する研究-日本とスウェーデンの事例から-
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14J02025
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小田巻 友子 立命館大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | コ・プロダクション / スウェーデン / 福祉供給 / 協同組合 / サードセクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本とスウェーデンの福祉供給体制の比較から、日本の福祉供給体制における問題点を明らかにし、セクター論の枠組みにとらわれずに、日本の福祉供給スキームを構築することを目的とする。従来、国際比較に基づいた他国の福祉供給体制の日本の政策への適用に関しては、「価値観や国情の違いから難しい」とする否定的な見解が多かった。しかし、本研究では、形態の多様性を是認することで、他国との比較から抽出された、福祉供給スキーム条件の日本への適用といった観点からの分析と制度の導入の検討が可能になると考えられる。 平成27年度は、1.サードセクター概念の再検討の執筆、2.日本とスウェーデンの比較からみた望ましい福祉供給スキームの条件抽出に関する国内・国外調査を行った。 サードセクター概念の再検討に関しては、セクター論の概念を打ち壊す理論の観点から、研究論文を執筆した。計量分析については、平成28年度も引き続き分析を行う。 国内外調査に関しては、日本とスウェーデンの両国で福祉供給主体への聞き取り調査を行った。スウェーデンでの調査では、平成26年度の研究で福祉供給スキームの鍵概念として位置づけた、協同組合で観察されるコ・プロダクションが、協同組合以外の他の事業形態、保育サービス以外の他のサービスでも見られるか調査を行った。具体的には、ストックホルム県ストックホルム市と、民営化の進展が著しいタービー市にて、協同組合型、営利企業、地方自治体が運営する保育・介護・障害者関連施設で責任者への聞き取り調査を実施した。 平成28年度は、これらの調査を踏まえ、引き続き国内外での聞き取り調査を実施し、両国に共通する望ましい福祉供給スキームの条件を抽出、研究論文を執筆・公表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究は、1.サードセクター概念の再検討の執筆、2.日本とスウェーデンの比較からみた望ましい福祉供給スキームの条件抽出に関する国内外現地調査であった。 1.については理論的背景についての論文が採択され、『社会政策』学会誌への掲載が決定した。計量的な分析については、所属研究機関のデーターベースの制約上、今年度は最新データが入手できなかったため、本格的なデータ分析は最新データの入手が可能な次年度以降とし、2.の国内外現地調査を優先した。 2.の国内外現地調査の結果の一部は、『北斗七星』にて公表した。残りの調査結果も、2016年6月に開催される第132回社会政策学会で報告を予定している。 上記のように、データ収集の制約上、研究計画の進行手順を一部入れ替えたが、全体としておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究は大きく分類して、日本とスウェーデンの比較から見た望ましい福祉供給スキームの条件抽出の執筆を行う。執筆にあたってのデータや資料収集の必要の観点から、次年度も国内外の現地調査を行う。調査結果は学会誌などで随時公表していく。また、平成27年度に実施できなかった、計量分析についても並行して研究論文の執筆を行う。
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Research Products
(4 results)