2014 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ燃料電池と電気培養を併用した汚泥処理システムの構築
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14J02176
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石崎 創 北海道大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | バイオ燃料電池 / MFC / 膜分離活性汚泥法 / MBR / 二酸化炭素回収 / 排水処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
主要な排水処理方式である活性汚泥法は、空気供給、余剰汚泥処理による多大なエネルギー・コストを要している。また、汚泥処理過程で生じる温暖効果ガス排出も重要な課題であり、創エネルギーかつ省エネルギーであり環境問題に配慮した技術の開発が排水処理に求められている。バイオ燃料電池(MFC)は「排水から発電が可能」「エアレーションが不必要」「汚泥の減量が可能」というメリットを有する一方、処理性能が低い、高コストなどの課題を持つ。 本研究は「省エネルギー」、「CO2排出量削減」、「高品位な処理水確保」が可能な汚泥処理システムの構築を目的とし、MFCと膜分離活性汚泥法(MBR)の統合効果の検証を目指している。後段処理を当初のメタン発酵からMBRに修正することで目的をより高水準で達成できると期待している。MBRをMFCの後段に設置することで、「高品位な処理水確保」を達成出来る一方,膜ファウリング発生によるエネルギー及びコスト増が懸念されるが、MFC導入による槽内菌の代謝変化が、膜ファウリングの進行に好影響を与えられないかと期待できる。 本年度はMFCを新たに構築し、MFCによるCO2回収能力の評価およびメカニズムの解明を行った。MFCにより回収できるCO2の量は、MFCを流れる電流量に比例することが分かり、またMFCに接続される外部抵抗値が小さいほど、CO2の回収量は増大することが分かった。 また、構築したMFCとMBRを統合して膜分離型バイオ燃料電池の構築に成功した。アノード槽の処理水をろ過することで膜ファウリング進行能力の評価を比較した結果、MFCには膜ファウリング抑制能力があり、発電流量が大きいほどその抑制が可能であることが分かった。発電流量が大きいほど、膜上のケーキ層の量が小さくなっていたことから、MFCには膜ファウリング進行に関与する分泌物の生産を抑制する効果があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に若干の修正が必要になったが、当初より掲げている研究目的である「省エネルギー」、「CO2排出量削減」、「高品位な処理水確保」が可能な汚泥処理システムの構築を、より高い水準で達成できる処理システムの構築に取り組めている。メタン発酵の代わりにMBRをMFCに統合することで、処理水質は著しく向上できると期待できる。MBRの運転には特に膜ファウリングを起因として多くのエネルギーを必要とするが、MFCによる微生物の呼吸方法の変化により、膜ファウリング進行の抑制に好影響を与えられるかもしれないと期待できる。 本年度は、MFCによる二酸化炭素回収メカニズムの解明に成功し、MFCは排水処理システムの「CO2排出量削減」に大きく寄与することを示した。また、上記のようにMBR運転の最大の課題である膜ファウリングの抑制効果がMFCにあることを示した。「省エネルギー」の実現が可能であることを示した。 以上より、本年度のMFCとMBRの統合による処理システムの実現にとって、非常に有意義な知見を明らかにすることができたと言える。そのため、当初の計画以上に研究は進展していると評した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、以下の研究を推進している。 ・MFC中の菌相を解析し、膜ファウリング抑制効果と比較し、菌による効果を検証 ・都市下水を処理するMBRより、膜ファウリング進行能力の高い菌の単離に成功しており、その幾つかは電気生産能力を有することが分かっている。それらの株を培養してMFCを構築し、MFCによる膜ファウリング抑制効果のメカニズムの詳細解明を検討
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Research Products
(3 results)