2014 Fiscal Year Annual Research Report
メラネシアの人間-サンゴ礁関係の人類学的研究:ソロモン諸島の海上居住民を事例に
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14J02197
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
里見 龍樹 一橋大学, 社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ソロモン諸島 / マライタ島 / ラウ / 海上居住 / サンゴ礁 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソロモン諸島マライタ島北部に住むラウの人々は、サンゴの砕片を海底に積み上げて人工の島を築くという独特の海上居住を今日まで実践してきた。本研究は、サンゴ礁という生態学的な環境と密接に関わりながら暮らしてきたラウの事例に即して、メラネシアにおける社会文化的な制度・実践とサンゴ礁環境の相互規定的な関係について、人類学的に明らかにしようとするものである。 2014年度の研究実施に当たっては、一定の計画変更をともないつつも、当初の課題に一貫して真摯に取り組んだ。第一に、2013年度中に予定していた博士論文の提出が2014年9月までずれ込んだため、研究成果の論文や学会発表としての発表はやや遅れることになった。ただし、提出された博士論文「ソロモン諸島マライタ島北部のアシ/ラウにおける「海に住まうこと」の現在:別様でありうる生の民族誌」の内容、とくにその後半での、ラウにおける生業を通じた自然環境との関わりに関する考察は、現在の研究を民族誌的・理論的に基礎付けるものとなっている。この点で、博士論文の完成は研究上の重要な進展であったと言える。またこの論文に対しては、東京大学大学院総合文化研究科から一高記念賞を受賞するという成果をも挙げることができた。 第二に、本来2014年度に予定していた現地調査は、直前の2014年2~3月に、別の研究助成金を得て同様な調査を行うことができたため、行わないこととした。代わって2014年度は、この調査によって得られたデータの整理・検討に時間を費やした。検討された具体的なデータとしては、ラウにおけるサンゴ礁に関する民俗生態学的知識や、現代の気候変動や自然災害に対するこの人々の認知が挙げられる。これらのデータを、現代の人類学理論における人間-自然関係をめぐる議論との対比において検討し、その結果は、2014年12月に国立民族学博物館の共同研究会で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年度に予定していた博士論文の提出が2014年度までずれ込んだため、研究成果の発表は当初計画よりも遅れている。他方で、2013年度に行った現地調査によりすでに豊富なデータが得られており、成果発表のための準備は調っていると認識している。具体的には、ラウにおけるサンゴ礁に関する民俗生態学的知識や、漁撈活動とサンゴ礁の海底微地形の関係などについて、新たなデータが得られている。これらのデータを、今後、現代の人類学理論における人間-環境関係についての議論と照らし合わせて検証していくことにより、当初の研究目的を達成することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき、ソロモン諸島マライタ島での補足的な現地調査、および理論的文献の検討を行うとともに、その成果を、国際学会での口頭発表や国内外の雑誌論文として発表していく予定である。口頭発表を行う学会としては、European Society for Oceanists(ベルギーで開催)、Association for Social Anthropology in Oceania(米国で開催)を予定しており、投稿先の学術誌としてはOceaniaを想定している。
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Research Products
(2 results)