2014 Fiscal Year Annual Research Report
ラセミ体ハロゲン化アルキルを基質としたエナンチオ収束型不斉ホウ素置換反応の開発
Project/Area Number |
14J02341
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保田 浩司 北海道大学, 総合化学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | ホウ素 / 不斉合成 / 銅触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機ホウ素化合物は、水や空気に対して安定である上、適切な反応条件において高い反応性を示すことから極めて有用な反応剤として広く認識されている。したがって、それらホウ素化合物の効率の良い合成法の開発は重要な研究課題である。本研究では、多置換アルケン類の合成シントンであるアルケニルホウ素化合物の新規合成法の開発と、炭素-酸素二重結合への初となる求核的不斉ホウ素化反応の開発を行った。 1. 銅触媒による非対称アルキンの位置および立体選択的アルキルホウ素化反応の開発 (Org. Lett. 2015, 17, 620 - 623. ) アルキン類のジボロンおよびアルキル求電子剤を用いた銅触媒アルキルホウ素化反応は、合成化学的に有用な多置換アルケニルホウ素化合物を与える効率の良い合成法である。しかしながら、非対称アルキン類を用いた場合のホウ素化位置選択性、および反応効率の向上が課題として挙げられていた。本研究では、ケイ素架橋基を導入することで活性種であるボリル銅の位置選択性を制御し、かつ分子内環化反応へと転換することでアルケニル銅種のアルキル化を促進することに成功した 2. 銅触媒によるアルデヒドの求核的不斉ホウ素化反応の開発 (J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 1, 420 - 424. ) これまで報告のあった不斉ホウ素化反応のほとんどはアルケンへのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応に限られており、必然的に合成可能な光学活性有機ホウ素化合物は限定されていた。本研究では、DTBM-SEGPHOSを不斉配位子として用いることで銅触媒によるC=O二重結合の不斉ホウ素化反応を世界で初めて達成した。この反応により、合成中間体として有用な光学活性α-アルコキシホウ素化合物が効率良く合成可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において1. 銅触媒による非対称アルキンの位置および立体選択的アルキルホウ素化反応の開発 (Org. Lett. 2015, 17, 620 - 623. )、および2. 銅触媒によるアルデヒドの求核的不斉ホウ素化反応の開発 (J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 1, 420 - 424. )を行い、それぞれ化学系トップジャーナルに掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
癌窒素複素芳香環の不斉脱芳香族ホウ素化反応は、様々な生理活性物質の中核となるアルカロイド類の合成において非常に魅力的であるが、脱芳香族化の高いエネルギー障壁のためにその達成は容易ではなく、未だその報告例はない。今後は、新しいタイプの反応である「不斉脱芳香族ホウ素化反応」をキーワードに研究を展開していく予定である。 現在のところ、2位にエステル基を有するインドールへの銅触媒不斉脱芳香族ホウ素化反応が高エナンチオ選択的に進行することを見出している。(Angew. Chem. Ent. Ed. submitted)
|
Research Products
(7 results)