2014 Fiscal Year Annual Research Report
短縮語形成過程の類型モデルに関する理論的・実証的研究
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14J02350
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 大樹 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 言語学 / 音韻論 / 形態論 / 韻律構造 / 韻律形態論 / 短縮語形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「短縮語形成過程の類型モデルに関する理論的・実証的研究」の下、様々な言語(主に日本語、英語、マレー語、マオリ語)における短縮語形成の記述的・理論的研究を行っている。短縮語形成とは基体の一部を削除して新しい語を作る語形成のことで、"チョコレート" から "チョコ" を形成したり、"ビルディング" から "ビル" を作るような語形成の事を指す。 本年度の研究実績としては、主なものとして以下の2点が挙げられる:①日本語の短縮語形成に関する論文の執筆 ②マオリ語の愛称語形成の調査及び論文の執筆 まず ①日本語の短縮語形成に関する論文の執筆 について述べる。この研究実績の多くは前年度までの成果による部分が多いが、論文としてまとめ上げたのは今年度であった。2つの論文としてまとめ、1つは短縮語の長さの決定方略に関する論文、もう1つは語末位置での母音長短の中和に関する論文である。前者はこれから投稿する予定であるが、後者は "Language and Information Sciences" という雑誌に採択され、既に出版された。 次に ②マオリ語の愛称語形成の調査及び論文の執筆 について述べる。7月から11月にかけてニュージーランドのオークランド大学で、マオリ語の人名の短縮語 (愛称語) に関する研究を行った。具体的にはマオリ語話者から愛称語のデータを収集し、それを最適性理論 (Optimality Theory) の枠組みで理論的解釈を与えた。この研究は既に論文として纏めてあり、 "Phonological Studies" という雑誌に採択され、既に出版されている。またこの研究に付随して、韻律形態論 (Prosodic Morphology) の一種である畳語 (reduplication) に関する研究も一定の成果をあげることができた。この研究成果については熱海で開催された「第10回音韻論フェスタ」で研究発表を行っており、既に論文として纏めてある。今後学術雑誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別研究員 (DC1) として採用された際に提出した研究計画書通りに研究が進んだことから、「おおむね順調に進展している」と考えている。 当初の予定は、初年度はニュージーランドでマオリ語の短縮語形成の調査を行うというものであった。この計画は今年度に適切に実行され、論文も "Phonological Studies" に掲載することができた。更に、計画時には想定していなかった畳語形成 (reduplication) に関しても一定の成果が挙げられ、研究発表も行うことができた。 一方で、昨年度までの研究成果を思う様に発表出来なかったという一面もあった。今後、昨年度までに実施された研究を論文にまとめられるように努める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、引き続き海外での調査、及びその成果発表を継続的に実施していく予定である。特に理論研究に関して、力を入れていく予定である。ここ数年、新しい音韻理論が考案されている。そうした音韻理論を短縮語形成という音韻・形態現象にあてはめることで、音韻理論に対して新たな知見をもたらすつもりである。
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Research Products
(5 results)