2014 Fiscal Year Annual Research Report
化学的エネルギーの直接変換により運動する機能性マイクロ/ナノロボットの構築
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14J02405
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉積 義隆 筑波大学, 数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロロボット / ナノロボット / 電気浸透流 / 誘電泳動 / 静電誘導交流電気浸透流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、効率的な自発推進能力を有するマイクロサイズのロボットを作製し、薬剤送達機構といった実用的な機能を実装した極微小デバイスを実現することを目的としている。 本ロボットは、過酸化水素中で自発運動する金/白金複合1電極構造をモータとして有する。金/白金複合1電極では燃料となる過酸化水素の酸化・還元反応が自発的に進行する。しかし、本モータ自体には自身の運動方向を決めるための機構は備わっておらず、運動方向は時間経過とともに変化してしまう。このことはロボットが行う仕事の効率を低減させる要因となると考えられる。 そこで今年度は、本モータを交流電場によるアシストにより運動方向を制御するというアプローチによって、運動方向の制御(ロボットの姿勢制御)を行い、モータの自発推進力を効率的に取り出す為のシステムの構築を試みた。具体的には、微小流路内に形成したITO電極ラインパターンに沿ってモータを運動させるというものである。本実験では、球形状を有するAu/Pt接合体モータを制御対象とした。実際に、Au/Pt接合体モータの運動方向制御を試みた結果、電極に1 kHzの交流を印加する事によって、モータをITO電極ラインパターンに沿って運動させることに成功した。この挙動は、対象電極上に発生させた静電誘導交流電気浸透流によってモータが電極中央にはき寄せられ、かつ、モータが正の誘電泳動によって電極上に繋ぎとめられることによってモータの自発駆動力が電極ラインパターン方向に限定されるために生じたものであると考えられる。 以上の結果は、自発推進型ロボットによる直接的、かつ効率的な薬物送達機構の開発において重要となるモータ部の設計に関する有用な知見を与えるものである。来年度以降はこの知見を活かして研究を推進させていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、電気浸透流を駆動力として運動するモータの高速度化をねらった構造検討を行った。2種金属境界の単位面積当たりの数を増やすことによって、従来の数倍程度の運動速度を有するモータを構築した。 また、平成26年8月から12月にかけてフランス電子情報技術研究所において、静電誘導交流電気浸透流を用いたモータの運動方向制御システムの構築に関する研究を行い、その結果に関する筆頭論文1報を投稿するなど一定の成果を挙げたと思われる。 よって、おおむね順調に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はロボットの駆動部分、及びその制御に重きをおいた研究を行ったが、今後は形状変化、及び薬物等の送達を行う機能を担う部分の設計・構築を進めていく。具体的には、金・白金接合型モータを複数個接合させることで、自己変形機能の付与を試みる。個々のモータは並進的な運動を行うが、これを複数個組み合わせることで互いに引っ張り合う力の存在によって、多様な運動挙動(構造の開閉運動、回転運動)が発現することが期待される。
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Research Products
(5 results)