2015 Fiscal Year Annual Research Report
化学的エネルギーの直接変換により運動する機能性マイクロ/ナノロボットの構築
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14J02405
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉積 義隆 筑波大学, 数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロロボット / ナノロボット / 自己電気浸透流 / 高分子電解質 / 交互積層法 / 変形構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体中にはナノスケールで自律的運動や機械的仕事を行う様々な分子機構が存在し、高度かつ複雑な生命現象を支えている。このような天然ナノマシンに匹敵する素子を人工的に構築できれば、細胞工学や材料工学における有用なツールとなると期待される。こうした機能性ナノデバイス創製の試みが近年盛んになされているが、これまでの人工マイクロモータは金属等の硬い材料のみからなるものがほとんどであり、柔軟な分子構造が協同的に機能する天然ナノマシンのような多様な動作や高効率な仕事をさせるには至っていない。そこで、本研究では、剛直なマイクロモータを柔軟な有機材料で繋ぐアプローチにより、単純な並進運動に限定されない、周囲の溶液環境に応じた回転運動など、より高度な運動挙動を示す複合型マイクロモータの構築を試みた。 本マイクロモータは、2つの白金/金接合型マイクロロッドが、高分子電解質膜のチューブ状構造を介して連結した構造となっている。溶液中で正のゼータ電位を有するポーラスアルミナをアニオン性のポリアクリル酸とカチオン性のポリ(アリルアミン塩酸塩)の水溶液に交互に浸漬することで、細孔内壁面にチューブ状の複合高分子被膜を形成し、さらに電解めっきによってそのチューブ内にマイクロロッドを形成した。 燃料となる1 M 過酸化水素溶液を満たしたフローセル中で、白金/金-金/白金連結型マイクロモータを作製し、燃料の添加前後での開き角の変化を調べたところ、連結型マイクロモータの開運動が確認された。 このような運動挙動を示すマイクロモータの構築は、将来的に微小物体の精密操作を行うことが可能な微小デバイスの開発につながると期待される。今後は化学修飾の手法や、昨年度までに実現している運動方向制御の外場によるアシストを統合することで、新規微小デバイスとしてのマイクロモータを構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、複数のマイクロモータを柔軟なポリマーの鎖によって連結するというアプローチを用いた複合型マイクロモータの構築を試みた。その結果、単純な並進運動ではない、自発的な伸張運動や回転運動といったより高度な挙動を示すマイクロモータの構築に成功し、今後の新規微小デバイスとしてのマイクロモータ・ロボット構築につながる一定の成果を挙げたと思われる。 さらに以上の結果について、国内学会口頭発表3件、国際学会ポスター発表3件行うなど成果の発信も積極的に行った。 よって、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、マイクロロボットの単純な並進運動から一歩進んで、自身が形状変化を起こしたり、回転運動するといったより複雑な運動性の発現を試みた。今後は化学修飾の手法や昨年度までに実現している運動方向制御の外場によるアシストを統合することで、微小デバイスとしてのマイクロモータの構築を行い、さらに新規バイオツールとしての有用性の検証を行う。
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Research Products
(10 results)