2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ極微質量の起源とバリオン数生成機構の研究
Project/Area Number |
14J02428
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 雄也 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | ニュートリノ / ヒッグス / 真空の安定性 / バリオン数生成 / インフレーション宇宙論 |
Outline of Annual Research Achievements |
他の物質粒子と比べてニュートリノの質量が極端に小さいことは素粒子標準模型では説明できていない。その軽いニュートリノの高エネルギーでの振る舞い(質量固有値、混合角、CP位相)は標準模型を超える物理に直接結びつく量であり、模型を構築する上で非常に重要である。そこで、我々はニュートリノの質量行列にトップとヒッグスのデカップリングの効果を考慮し、それら有無で高エネルギー領域の質量固有値の二乗差に対して最大で約4%の差が現れることを示した。 また、重力の寄与を考えることで、MPCPと呼ばれる電弱スケールとプランクスケールで真空が縮退している状況が実現できるか調べた。その結果、実験結果と矛盾するヒッグス質量(131.5 GeV以上)が要求され、重力の寄与を考慮してもMPCPが実現できないことが分かった。 さらに、ヒッグス質量の階層性問題の観点からTeVスケールにのみ新しい粒子が現れることを仮定し、プランクスケールでゲージ結合定数の統一を実現する模型の研究を行った。その結果、新しい粒子が全て同じ質量のフェルミオンだけではそれを実現できず、スカラー粒子が必要であることが分かった。一方で、異なる質量のフェルミオンであれば、プランクスケールでゲージ結合定数の統一を実現でき、真空も安定になることが分かった。 本年度の3月にBICEP2グループが密度ゆらぎのスカラーテンソル比rがおよそ0.2という値を出した。そこで、我々はaxion monodromy inflation模型に非摂動的なダイナミクスから期待される補正項を考慮した解析を行った。元の模型ではr=0.2と他の観測量を同時に再現する事ができなかったが、補正項の効果でそれらが同時に説明できることを示した。 以上の現象論的解析は標準模型を超える模型のヒントとなり、今後の実験結果に対しても予言を行うことができるので非常に重要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は一般的な模型での現象論的解析を主に行った。次年度ではそれらの結果を用いて、本研究課題であるニュートリノフィリック・ヒッグス模型の現象論的解析がスムーズにできることが期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果を用いて、それらをニュートリノフィリック・ヒッグス模型に適用した場合の解析を行う。また、引き続き一般的な模型での現象論的解析を行う。
|
Research Products
(14 results)