2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J02435
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野木 聡 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 唐 / 監察 / 官制 / 御史 / 侍御史 / 知雑事 / 人事 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究目的は、唐代御史台の慣例を検討することで中央官界における御史の性格変化を明らかにすることである。そこで今回着目したのが、御史に対する懲戒権を有して御史集団に影響力を持っていたとみられる侍御史知雑事(御史台内の庶務を掌る「知雑事」の任にある侍御史)の就任についての慣例である。唐前半期では知雑事の就任に上司である台長(御史台の長官や次官である御史大夫や御史中丞)は関与していなかったが、唐後半期には台長が知雑事を推薦する慣例となる。この変化は知雑事の性格変化と捉えることができ、知雑事による懲戒の性格も「御史集団の自浄能力」から「台長による御史統制の手段」へと変化したと理解できる。先行研究では、もともと各御史は台長の統制を受けずに監察活動を行い得たが、次第に台長による御史の統制が強められたとされる。本研究では、知雑事を推薦する慣例も同様に御史統制強化の一環として位置づけが可能であり、統制強化により活動の自由度を減じた御史の監察機能は低下していったと結論する。また唐後半期では台長が宰相に就任する際、知雑事を後任の台長に推薦する場合が多くみられ、こうした構造は党争が問題となる唐後半期において党派形成を増長させる一因となったと推測しており、さらなる展開が期待できる。 この研究成果は2017年2月11日の六朝史研究会において「唐後半期における侍御史知雑事とその人事」の題目で口頭発表をおこなっており、今後学術雑誌に投稿予定である。 また本年度は、前年度の研究成果である「唐後半期の地方監察―出使郎官・御史と巡院、憲銜保持者―」が『東洋史研究』第75巻第2号に掲載された。本論文は従来の研究では不明確であった唐後半期における地方監察の全体像と展開を明らかにしたものである。
|
Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|