2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J02502
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邊 言也 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 眼球運動 / 瞳孔 / 覚醒度 / 情動 / 課題パフォーマンス / 国際情報交換(アメリカ) |
Outline of Annual Research Achievements |
起こりうる最悪の結果を避け、手に入れられる報酬を最大化することは我々にとって最も重要な営みの一つである。しかし特に難易度の高い課題に取り組むときには、プレッシャー・ストレスなどを感じさせる外的な要因や、疲れ・眠さ・極度の緊張などの内的な覚醒要因によって、課題に失敗してしまうことがある。そのような失敗を避けるために我々の脳は常に自己の覚醒を最適化させているはずである。本研究は課題に対する自身の情動や覚醒度の最適化の神経ダイナミクスを検証するものである。 1.実験室の構築…申請者の異動に伴い、実験設備の整備を行った。実験のために机、椅子、顔面固定具、眼球運動計測機器、心拍計測装置などを調達した。 2.実験課題の再考と作成…提案書に記載されていた課題を元に、さらにモデル解析が可能になるように改良を加えた。また複数の機器を制御するためのプログラミングを行い、実験課題を作成した。 3.行動実験…まず予備実験として刺激の最適化のために「主観的輝度の調節」と「課題難易度設定課題」に関するための予備実験を行った。その後、予備実験の結果を元に本実験を2種類行った。最初の実験で瞳孔のダイナミクスを計測することで、その課題遂行前から成功と失敗を予測できる可能性が示唆された。しかし実験パラダイムに多少の問題点があったため、それを改善した実験も行った。その結果現象を再試することができた。全部で60人ほどのデータを取得した。 4.解析手法の開発…本研究において、瞳孔サイズおよび心拍の計測、解析は必須であるが、その一般的解析手法は未だ整備されていない。そこで最近の先行研究を元にMatlabを用いてオリジナルの解析プログラムを作成した。その結果、実験後にオートマチックに解析ができるようになった。この内容については「脳とこころのメカニズム冬のワークショップ」に参加し、本年度の研究結果について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類の実験を行ったが、その両方の実験の結果、課題遂行寸前の瞳孔のダイナミクスを計測することで実際の遂行前から課題成績のレベルを予測できる可能性が示唆された。この結果について国内のワークショップで発表し、多くの先生からコメントをいただき、実験課題の改良に関するアイディアと、これからの研究の方向性について多くの有意義なディスカッションをすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はこれまでの行動実験の結果を元に覚醒度がパフォーマンスを亢進、抑制する計算モデルを構築する。さらにモデルが脳において実際に表現されているかを、fMRIを用いて検証する。今後この研究はアメリカ合衆国ニュージャージー州ラトガース大学のマウリシオ・デルガド先生とのコラボレーションとして行っていく予定である。
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Research Products
(8 results)