2015 Fiscal Year Annual Research Report
18・19世紀日本における「漢学」の変容と政治思想
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14J02525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 英明 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 幕末政治思想 / 漢学 / 志士 / 文士 / 永遠性獲得願望 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はかねてよりの予定通り、(1)幕末期の漢文脈を担った志士と文士の政治思想を、特に歴史意識との連環に留意しながら研究した。具体的には、吉田松陰、真木和泉、広瀬旭荘、岡鹿門、松本士権らを分析した。なお、その際、論理的体系性をもつ思想哲学のみならず、日記や片々たる書簡をもとりあげ、幕末知識人たちの実存意識やアイデンティティにも注目した。また、更に進んで、(2)特に歴史の上に永く語り継がれたいという〝永遠性獲得願望〟――「英雄豪傑」や「不朽」の夢――の形態の変遷を、徂徠学以降の18・19世紀思想史のなかで検討することにより、それとの対照において、幕末知識人たちの精神的諸特徴をより鮮明に把握することを試みた。具体的には、服部南郭や太宰春台、井上金峨、山本北山、寛政正学派、頼山陽などを検討した。 以上の検討の成果は、およそ次の2点に約言することができる。(1)まず、従来、攘夷か開国か、尊王か佐幕かといった政治運動のレベルで分類され、分析されてきた幕末政治思想を、全く異なる視座から把握することができた。特に、政治的豪傑として事業をなしとげ、永く顕彰されんとする志士たちの夢想が、彼らの政治思想や倫理を規定していたこと、こうした志士たちの夢に即した文筆業のかたちを模索した文士の存在を明らかにできた。(2)更に、〝永遠性獲得願望〟の諸形態を通時的に考察することで、こうして新たに捉え直された幕末期の諸思潮を、徳川思想史の水脈のなかで――近代への滑走期としてではなく――適切に位置づけることに成功した。 なお、本年度は以上の成果を博士論文として書き下ろすことに多くの時間を割いた。論文は2016年度に提出される予定である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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