2015 Fiscal Year Annual Research Report
オートファゴソーム形成部位への小胞輸送の制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
14J02578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 貴英 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | オートファジー / 膜融合 / SNARE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オートファジーの制御メカニズムを膜動態の観点から解明することを目的にしている。 オートファジーの進行にはダイナミックな膜動態が伴う。特に、隔離膜の伸長には(おそらく小胞輸送を介した)膜の供給が必要であること、オートファゴソームがリソソームだけでなく、エンドソームとも融合することなどの知見から、オートファジーと膜融合は密接に関係していると考えられているが、実際にオートファジーに関与する膜融合の制御因子はあまり知られていない。昨年度、普遍的な膜融合の制御因子として知られているSNAREタンパク質に着目し、完成したオートファゴソームに特異的に局在するSNARE Xを同定することに成功している。これまで、SNARE Xとオートファジーの関係性に関する報告がなかったので、本年度はこのSNARE Xのオートファジーにおける機能解析を行った。 詳細な解析の結果、このSNARE Xは栄養状態では主に細胞質中に局在するが、飢餓などによりオートファジーが強く誘導されるとドット状の局在を示し、かつオートファゴソームマーカー陽性となることがわかった。さらにこのSNARE Xのノックダウンはオートファジーを強く阻害し、特にオートファゴソームとリソソームの融合過程を阻害していることがわかった。これまでに、オートファゴソームとリソソームの融合は、オートファゴソームに局在することが知られているSNAREタンパク質Syntaxin 17 (STX17)が制御することが知られている。興味深いことに、このSNARE XはSTX17非依存的にオートファゴソームとリソソームの融合を制御していることがわかった。つまり、オートファゴソームとリソソームの融合という一つの過程を、異なるSNAREタンパク質が互いに独立して制御していることがわかった。 現在、これらの結果をまとめ、論文発表するための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、現在論文発表を行うための準備をすすめているため。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的にSNAREタンパク質は3種か4種類の異なるSNAREタンパク質がSNARE complexと呼ばれる複合体をつくることで、膜融合を制御することが知られている。そこでSNARE XのパートナーとなるSNAREタンパク質の探索を行い、すでに候補タンパク質を同定することに成功している。現在は、これらの候補タンパク質の機能解析を行っており、いくつかポジティブな結果を得ている。今年度はさらに詳細な機能解析を行い、データをまとめ論文投稿を行う予定である。
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