2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J02598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒野 悠輝 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 量子群 / 作用素環 / q変形 / KK理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
De Commer-Freslon-Yamashitaによる離散量子群の中心的近似性質/剛性,および等価な概念であるPopa-Vaes,Neshveyev-Yamashita,Ghosh-Jonesらによるテンソル圏の近似性質/剛性は,部分因子環論との関連も含めて,重要な分野となってきた.私は,昨年度に引き続き,このような性質について調べた.特に,完全不連結群とコンパクト開部分群の組から,テンソル圏を構成し,またその性質について,元の群および,群の自分自身への随伴作用の言葉による同値条件を与え,Haagerup性や性質(T)を持つ非自明なテンソル圏を構成した. Meyer-Nestによる三角圏を用いた同変KK理論の研究は,特にBaum-Connes予想の新たな定式化や量子群への一般化において強力な道具であった.私は,彼らの手法を双対化することで,コンパクト群同変KK理論をMeyer-Nestによる三角圏を用いた手法によって調べた.特に,Atiyah-Segalの完備化定理を三角圏における入射分解を用いて定式化することで,KK理論におけるAtiyah-Segalの完備化定理を示した.また,このような代数トポロジー的な手法と,量子群の研究を組み合わせることで,コンパクト群のC*-環上の連続Rokhlin作用の分類を行った. 量子群のねじれは,Voigtによる量子群のBaum-Connes予想の研究から現れたものであり,Baum-Connes予想はねじれのない量子群のみにしか定式化されていない.一方で,特殊な例を除いて,ねじれがないことを示すのは非常に難しかった.私は,ねじれのなさをテンソル圏の言葉で特徴づけることにより,組み合わせ論的なアプローチで,様々な量子群がねじれを持たないことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中心的性質(T)は本来量子群の文脈で現れたものであり、そのような動機によって研究を始めたものであったが、その後の進展により、subfactorやテンソル圏との関係が指摘され、そのような動機からq変形の中心的性質(T)のみにとどまらず、様々な発展的な研究につながったため。
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Strategy for Future Research Activity |
q変形において、中心的性質(T)、およびそのcb multiplierにおけるアナロジーについて考察する。このような方向性では、既にいくつかの新しい、小さい結果を得ており、それらを組み合わせることによって、実際にほかのq変形の中心的性質(T)やそれを強めた中心的性質(T*)を得ることが期待される。 また、次の目標としてSUq(n,m)のような局所コンパクト群のq変形を理解することが上げられる。このようなものをconceptualに理解するアイデアとして、De Commerのreflection techniqueがあげられるが、高ランクの場合には何もわかっていない。このような問題をLie環の表現論を用いて理解し、またその性質について調べることが目標となる。
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Research Products
(5 results)