2014 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒で切り拓くフリーデル・クラフツ型反応の新展開と生物活性天然物合成
Project/Area Number |
14J02661
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 雄太 千葉大学, 薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 遷移金属触媒反応 / 含窒素複素環合成 / 多段階連続反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンゾフランやインドールの3,4位から中員環が縮環した構造は、Malibatol AやDragmacidin E等、数多くの生物活性天然物に含まれる。本研究では、分子内Friedel-Crafts型アルキル化反応の応用によりこの普遍骨格の画一的かつ柔軟な触媒的合成法を開発し、天然物合成により有用性を実証することを目的とした。ベンゾフラン誘導体に関しては予備検討の段階で目的である7員環縮環体を得ることに成功していたが、インドール誘導体に関しては異なる中間体を経由したと思われる6員環縮環体を選択的に与えるという知見を得ていた。申請者は0価白金触媒を本反応系に用いた際に7員環縮環型インドリン誘導体を与えることを見出し、選択性に関する問題を解決した。アニリン類を求核剤として用いアレニルプロパルギル錯体中心炭素への触媒的炭素―炭素結合形成を実現した点、0価白金を触媒的に用いてアレニルプロパルギル錯体の化学へと応用した点において、本研究は極めて先駆的な成果であると言える。基質一般性に関しても粗方検討を終えており、本触媒系が十分に実用に足ることを立証している。生成物に関しては酸による転位や酸化により容易にインドール誘導体へと導けることも確認している。 また、申請者は上述したインドール誘導体合成研究の折に、側鎖にフェニル基を持つ基質を酸で処理した場合に三環性キノリン誘導体を効率的に与えることを見出した。本骨格は医薬品化合物Exatecan等に含まれる魅力的な合成ターゲットであるものの、その効率合成法は十分に確立されていない。そこで脱離基をより単純なメトキシ基に変更し更なる検討を行った結果、空気中トリフルオロ酢酸を用いた際に75%収率にて目的物を得た。さらに反応条件の調整により各中間体を単離し、詳細な反応機構の解明にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より目標としていた3,4-中員環縮環インドール類の触媒的合成法に関して最適化を行い、0価白金触媒を用いる反応条件を確立した。また、標的骨格を持つ天然物合成への応用、対応するパラジウム触媒反応系とのメカニズム的な相違を調べる段階にまで研究は進んできており、期待通りの進展が見られていると言える。また、検討の途上で見つけたトリフルオロ酢酸により促進されるカスケード反応を利用した縮環キノリン類の合成研究も同時に行い論文として報告をした。初年度目の研究としては十分な成果と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回開発した3,4位縮環型インドール合成の有用性を示すため、天然物fargesineの全合成を達成する。ベンゾフラン合成については効率的な反応条件を確立し、生物活性天然物Malibatol Aの全合成研究へと応用する。得られた化合物群に関しては生物活性評価を行い、創薬化学研究への発展を模索する。また、今回見出した白金触媒による選択性の発現のメカニズムを解明し、本事象を応用した新規反応の開発についても検討を行う。
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Research Products
(4 results)