2014 Fiscal Year Annual Research Report
銀河の撮像観測と分光観測を用いた修正重力理論への包括的な制限
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14J02667
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
淺羽 信介 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 観測的宇宙論 / 修正重力理論 / 宇宙大規模構造 / 重力レンズ / ダークエネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的ある銀河の観測を用いて修正重力理論を制限する上で、観測量に対応する密度揺らぎや速度を理論的に高精度に予測することが重要である。その手法として、宇宙論的N体シミュレーションがある。今年度の前半では、宇宙論的N体シミュレーションについて学び、N体シミュレーションから得られる物理量の一つであるダークマターハローの速度分散の非等方性とハローの形の非等方性について研究を行った。速度分散はハローの質量と重力定数で決まるため修正重力理論の制限に使えると考えられている。そして、大質量のハローでは速度分散が大きい方向とハローの長軸方向が揃っている一方で、小質量のハローでは相関がないことがわかった。 本年度の後半は宇宙論的N体シミュレーションを用いて、ダークマターとバリオンの間の超音速相対速度が構造形成に与える影響について研究した。次世代電波干渉計で観測できると期待されている中性水素の空間分布から、現在の観測よりも高赤方偏移の密度揺らぎや速度の情報を得ることができる。高赤方偏移では非線形効果が小さいため、より小スケールの構造を使った修正重力理論の制限について議論することができると期待されている。その一方で高赤方偏移ではバリオンはダークマターに対して超音速の相対速度を持っている。この相対速度は小スケールの構造形成を抑制することが知られている。この抑制を見積もることは小スケールの構造を使った宇宙論の議論において重要である。バリオンが相対速度を持っている場合の球対称崩壊モデルにおけるダークマターの崩壊時刻の変化を定量的に求めた。そして、z=10の小質量のハローの数密度が15%程度減少することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である修正重力理論の制限を議論する行う上で重要な要素である、宇宙論的N体シミュレーションを用いた研究を進めることができた。また、次世代電波干渉計で得られる高赤方偏移中性水素の空間分布を用いた修正重力理論の制限という新しい視点の基礎となる研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代電波干渉計で得られる高赤方偏移中性水素の空間分布を使った場合の修正重力理論の制限を見積もる。また、銀河の撮像観測と分光観測から得られる情報と次世代電波干渉計から得られる情報の関係性について研究を行う。さらに、修正重力理論における非線形領域の観測量を見積もる方法を開発すると共に、実際に得られている観測データを扱い研究を行う。
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Research Products
(4 results)