2015 Fiscal Year Annual Research Report
量子情報処理に向けた多値位相変調コヒーレント光識別量子受信機の研究
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14J02681
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
泉 秀蕗 上智大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | FPGA / リアルタイム処理 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は、光子検出器の測定結果に応じた高速フィードバック操作の構築を行った。光子検出器からの測定結果に応じて、数MHz程度の速度で位相変調器や振幅変調器の駆動電圧を変化させるためには、従来のマイコンなどといったソフトウェアをプログラムするようなデジタル信号処理系では不十分であり、ユーザー自身が内部回路すなわちハードウェアを直接自由に設計可能なField Programmable Gate Array(FPGA)を用いる必要がある。27年度11月からデンマーク工科大学に5ヶ月訪問し、FPGAに関して学ぶことで、所望の機能を設計及び実現することが可能となった。本研究課題では光子の数をカウントできるような光子検出器を用いることで、4つの異なる位相を持つ光状態を識別する測定手段の実現を目指している。27年度は光子検出器に光子の有無のみを区別できるようなAPDを使用し、識別する状態数も4つではなく2つを対象としている。この場合、電気信号は全てデジタル信号で扱いアナログ・デジタル変換が不要であるため、電気回路に関しては今回実現したフィードバック系がそのまま本研究課題に適用することはできない。一方で光学系の基本構造は同じであるため、デジタル・アナログ変換をFPGA出力部に導入することで4状態識別受信機への拡張も容易に可能である。これまでにFPGAを用いて可能な処理は、APDからのデジタル信号のカウント、検出結果に基づいた高速フィードバック操作、PC-FPGA間のリアルタイムでのデータ読み込み/書き込み、アナログ・デジタル変換などがあり、本研究課題で必要とされる機能はほぼ現在の知識で実現可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はFPGAと呼ばれるプログラム可能な電気回路を学ぶことで、本研究課題で必要となるリアルタイムでの信号処理及びその結果に用いた高速フィードバック操作を実現した。前年度に構築した干渉計と組み合われることで、本研究目的である4状態に対する準最適な測定手段が可能となる。当初の目的では光子数識別可能な光検出器を用いる予定であったが、動作状況が不安定であることから27年度は光子の有無のみを識別するAPDを代わりに使用している。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで実験系及びフィードバック操作の構築を行った。今後はフィードバック操作を実験系と組み合わせることで、システム全体がどれほどの遅延時間で動作可能か評価する。そして実現した測定系を実際に状態識別に用いてどれほどの性能を示すか評価を行う。次年度上半期は、2つの光状態を識別するための測定系をAPDによって構築し実験を行う。下半期には、デジタル・アナログ変換を回路系に導入することで、4状態を識別可能な測定系に拡張する。光子数識別TESの動作状況に応じて、APDをTESと置き換え、光子数に応じたフィードバック操作の実現に取り組む予定である。
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Research Products
(4 results)