2014 Fiscal Year Annual Research Report
企業財務データの網羅的解析による産業組織のダイナミクスの解明
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14J02763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久野 遼平 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ネットワーク / 機械学習 / マクロ経済学 / 産業連関表 / 総量の変動 / 次元削減 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画通り「企業ネットワークにおけるリンク張替えの効果の実証的推計と総量の変動に関する研究」を実施した。ワーキングペーパーとしては書きあがっており、投稿済みである。 企業ネットワークにおけるリンク張替え効果の実証的推計と総量の変動に関する研究:本論文では企業ネットワークと総量の変動の関係、ならびに総量の変動を低下させる可能性がある企業のリンク張替え行動に的を絞った研究を実施した。マクロ経済学においては[Lucas(1977)]以降、総量の変動に寄与するのはコモンショックがほぼ全てでネットワークの効果は少ないとされてきた。しかし[Acemoglu et al(2012)]が理論的にネットワーク重要性を議論して以降、少しずつだがネットワークに関心が集まってきている。そこで本論文では、国内十万社のネットワーク情報と企業の財務諸表の情報を用い、ネットワークの効果を実証的に分析することにした。モデルとしては多部門モデルを採用し、企業ネットワークの総量の変動に対する寄与度合い、特に企業の張替え行動とのトレードオフに注目し推定した。パラメータ推定の際の識別可能性の話題に関しても、中小企業の財務諸表のデータに関して不確かな部分があることを考慮し、これまで誰も議論することがなかったパラメータ推定の識別可能性について理論的に考察を与えた。その結果、企業間のリンクの強度がわからないことからくる不確実性もあるが、ネットワークは総量の変動に対してそれなりに寄与していることが実証された。こうした話題、特にリンクの張替え行動によるトレードオフを論じたものは非常に稀でありこの論文の中核をなしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも早く一本目の論文を書き上げることができた。その後、論文の質を上げるために2度ほど改訂を行ったためまだ出版にまでは至っていないが、根本的な成果は平成26年度に作り上げたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には平成26年度に実施した研究の発展ならびに新たに機械学習の手法による新しい連関分析の作成法の研究に移る。
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Research Products
(3 results)