2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J02775
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 諒 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 種分化 / 生物多様性 / 繁殖干渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は申請時の年次計画に基づき、研究内容[1]局所的な分布パターン: 近縁種における繁殖干渉とその進化的帰結の検証について、メナドヒメワモンの形態分類を継続して行った。形態的2種に分類を整理するとともに分布概念図を作成し、これらの内容は論文としてLepidoptera Scienceに受理された。この研究結果から予想された分布の重複による繁殖干渉の頻度に基づき、生殖的形質置換および棲み分けが繰り返しの種分化を促進するメカニズムについて、数理モデルを用いて示した論文をPopulation Ecologyに発表した。種分化は遺伝子流動を乗り越えて起きなければならないが、継続した移入と繁殖干渉による形質置換は新たな集団を形成し次の種分化を促進するため、種多様性創出速度に関する移入頻度の拮抗関係が示された。 研究内容[2]: 大域的な分布パターンについて、集団間で遺伝子流動がある場合に種分化が起こるスピードを定式化する研究を継続して行った。2集団間において2遺伝子座2対立遺伝子の突然変異が蓄積することで種分化を達成するDobzhansky-Muller型の不和合性を拡張し、任意の遺伝子座数で種分化のシナリオを再現するモデルを解析した。その結果、生殖隔離形質をコントロールする遺伝子座数が少ないほど確率的浮動が増すことで種分化までの待ち時間が短縮されることが示された。さらに、一定期間内の移入個体数が同じ場合に、少ない個体数が継続的に遺伝子流動をもたらすよりも集団で散発的に移入を行う方が種分化は起こりやすいことが明らかとなった。これらの内容はJournal of Theoretical Biologyに掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
それぞれの内容について、研究結果を英文誌および所属学会にて発表することができた。すでに各研究内容の拡張に取り組んでおり、それらを次年度にて取りまとめることを課題としたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究内容[1]に関しては引き続き、近縁種が出会った場合に繁殖干渉により絶滅せず、なおかつ形質置換と棲み分けがどのような程度の組み合わせでおこるかを包括的に扱うモデルの構築を目指す。具体的には、繁殖形質および空間構造をそれぞれ1次元のシンプルな量的形質であると仮定し解析することで、これまでの「Hybrid zone」研究との比較を行う。 研究内容[2]について、大域的な集団間での種多様性予測のため、中立遺伝子の変異蓄積が種分化を達成するような状況において、3集団以上へのモデルの拡張を行う。また種分化プロセスを明示的に取り入れ、生物多様性を表現するための群集モデルを構築する。そのため、個体群動態および絶滅のプロセスに関する先行研究を考慮し、申請者の種分化モデルを拡張する。
|
Research Products
(7 results)