2015 Fiscal Year Annual Research Report
サキシトキシン骨格の新規構築法の開発とそれを基盤としたゼテキトキシンの全合成研究
Project/Area Number |
14J02822
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上野 壮平 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | サキシトキシン / ゼテキトキシン / 全合成 / 環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電位依存性ナトリウムチャネルを阻害する天然物サキシトキシン(STX)の骨格の効率的構築法の開発とそれを基盤としたゼテキトキシン(ZTX)の全合成を目的として研究を行ってきた。 前年度までにモデル化合物を用いて確立した環状ウレアのグアニジンへの変換法を本基質へ適用したところ、中間体のウレアの保護基であるBn基が脱保護できないことが判明した。ウレア上の保護基の脱保護は、ウレアのグアニジンへの変換に必須であると考えられたため、ウレアの保護基をBn基からPMB基へと変更した環化前駆体を新たに調製した。これを用いて、これまでに独自に開発したカスケードブロモ環化反応とラジカル的なgem-ジブロモメチレンの酸素官能基化反応を利用して環状ウレアを合成した。続いて、得られた環状ウレアに塩酸を作用させたところ、ニトリルのカルボン酸への加水分解とPMB基の脱保護に成功した。次に、カルボン酸をメチルエステルへと変換後、ウレアの選択的なアルキル化を行った。最後に、水素化ホウ素リチウムによるエステルの還元と脱保護、アンモニアによるイソウレアのグアニジノ化を行うことでSTX骨格の構築に成功した。また、これを用いて、STXの天然類縁体であるdecarbamoyl α-saxitoxinolの不斉全合成を達成した。本合成法は、これまでに報告されたSTX骨格の合成法の中でも、最も効率の良いものの一つであると言える(現在、論文投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サキシトキシン骨格の効率的合成法の確立に成功したため。また、それを用いてサキシトキシンの天然類縁体であるdecarbamoyl α-saxitoxinolの不斉全合成を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
サキシトキシン骨格に修飾を行うことで、ゼテキトキシンの部分構造の妥当性を検討し、その全合成研究に着手する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] サキシトキシン類の全合成2016
Author(s)
○上野壮平、中崎敦夫、西川俊夫
Organizer
第14回次世代を担う有機化学シンポジウム
Place of Presentation
日本薬学会長井記念ホール
Year and Date
2016-05-27 – 2016-05-28
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