2014 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタル回収を目的とした廃小型家電の粉砕シミュレーションと最適粉砕手法の検討
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14J02876
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
綱澤 有輝 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | リサイクル / 数値解析 / 粉砕 / レアメタル回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
小型家電のリサイクルにおいて,粉砕・破砕は後段の選別工程の効率や回収率を決定づける重要な前処理プロセスである。しかしながら,粉砕・破砕に影響を与える因子が非常に多く,衝撃粉砕や部品剥離機構に対する知見はまだ十分に得られていない。そこで本研究では,リサイクルプロセスにおける小型家電等の粉砕機構を再現できるシミュレーション手法の構築と粉砕機構の解明を目的とした。当該年度は,新規シミュレーション手法の構築を目指すために,小型家電や実装部品の物性把握,固気連成シミュレーションの実施,微小変形モデルの構築の3点を重点的に行った。 小型家電や実装部品の物性把握を目的とし,振り子型衝撃試験装置を開発した。本装置を用いて基板からの部品剥離に要する衝撃エネルギーの測定を行った。準静的過程での引張試験も行い,部品剥離に要するエネルギー値を得た。固気連成シミュレーションでは,粒子ベース剛体モデルに流体を連成させて,破砕機内のシミュレーションを行うツールの開発をした。本ツールを用いて,粉砕過程における流体の影響および粉砕機や粉砕条件の違いによる粒子・流体の挙動を調査し,破砕・部品剥離粉砕を定性的に検討した。さらに,微小変形モデルの構築を目指して粒子破壊モデルの改善を試みた。構成粒子の配置方法を検討し,実際の基板モデルの構築に対する指針を得ることができた。また,本モデルを用いて部品剥離過程を直接的に再現し,破砕実験と定性的に一致する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,小型家電等の粉砕機構を再現することができる新規シミュレーション手法の構築を目指し,小型家電や実装部品の物性把握,固気連成シミュレーションの実施,微小変形モデルの構築の3点を行った。 小型家電や実装部品の物性把握では,基板に実装された部品の剥離に要する衝撃エネルギーを得るために,シャルピー衝撃試験機を改良した装置を作成した。部品に対して,1回の衝撃で剥離する割合および,複数回の衝撃で剥離する割合を計測することで,部品剥離に要するエネルギー値を得ることができた。これらの値をシミュレーションに反映できると考えられる。 小型家電に含まれる電子基板を対象として,粒子ベース剛体モデルに流体を連成させて,破砕機内のシミュレーションを行うツールの開発をした。本ツールを用いて,ドラム型衝撃式破砕機における電子基板挙動を解析した。破砕機内の基板挙動および衝突挙動,破砕機内の流れを把握することができた。 粒子ベース剛体モデルを応用して,変形と破壊を再現できるモデルの構築を目指した。電子基板をモデリングする際の構成粒子の配置方法について検討を行った。種々の配置方法に対して基板の変形量を定量的に評価し,実際の基板モデルを構成するための指針を得ることができた。また,本モデルを用いて部品剥離過程を直接的に再現し,破砕実験と定性的に一致する結果を得た。 上記の研究に加え,複雑形状を有する体系におけるシミュレーション手法に関する研究を行った。これらの研究から得られた成果から,概ね順調に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,粉砕機構を再現することができるシミュレーション手法の構築を主に行った。今年度の成果を踏まえ,今後は小型家電等を対象としたレアメタル回収に適した粉砕手法の検討を予定である。以下の3点を行う予定である。 小型家電の粉砕シミュレーション。今年度に構築したシミュレーションツールを用いて,種々の粉砕機のシミュレーションを行い,破砕機内の基板挙動および衝突挙動,破砕機内の流れを把握することに加え,種々の条件における衝突過程を比較することによって粉砕特性の定性的な評価を行う予定である。 破壊モデルの構築。今年度に構築した新規モデルに破壊モデルを導入する。粒子ベース剛体モデルでは各剛体の構成粒子間の内力を計算しないが,本モデルでは,微小な変形量や破壊現象を再現するために,構成粒子間の内力を計算する。構成粒子間の内力は,粒子間の接触に伴う反発力と離散要素法において通常認めていない引張力を仮定して計算する。これらの作用力に応じて構成粒子間の結合を解除させることによって,粉砕・破壊現象をモデル化し,小型家電や電子基板の粉砕現象の直接的な解析を試みる。シミュレーションから粉砕特性を定量的に考察・評価する予定である。 最適な粉砕手法の提案。構築したシミュレーション手法を用いて,既存の粉砕機の形状を仮想的に変更して解析を行うことが可能である。そこで,攪拌翼の形状や数を変える,装置の形状や大きさを変えるなどの最適な粉砕機の提案を行う予定である。
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Research Products
(7 results)