2014 Fiscal Year Annual Research Report
準周期長距離秩序物質の低温相転移とフェイゾンに関する研究
Project/Area Number |
14J02924
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 庸公 東北大学, 多元物質科学研究所, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 準結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要 初年度では、Cd-Yb準結晶の純良単結晶育成、物性測定、および次年度に予定する放射光X線回折測定の予備測定を遂行した。本年度得られた成果は以下の通りである。 (1)Cd-Yb準結晶の単結晶育成をブリッジマン法を用いて試み、センチメートルサイズの純良単結晶の育成に成功した。この単結晶試料について単結晶X線回折測定(Mo線源)を行った結果、反射位置は測定精度範囲内での理想的な正20面体対称性の正規位置にあり、得られた試料は正20面体対称性を持つことが判明した。さらに、この単結晶試料について10から300Kの温度範囲で電気抵抗測定を行った結果、60から80Kの温度範囲でヒステリシスを伴う異常を観測した。 (2)Cd-Yb準結晶の多結晶試料を作製し様々な温度で焼鈍したところ、ヒステリシスの温度領域にバリエーションがあることが判明した。60から150K以上の広範囲で抵抗ヒステリシスを示す試料についてX線回折測定を行ったところ、室温でリニアフェイゾン歪により正20面体対称性が破れていることを確認した。これまでのところ、焼鈍温度に対するヒステリシス温度域には明瞭な傾向は見られておらず、試料作製条件によりこれらを制御するには至っていない。 (3)(1)で得られた単結晶試料について、15 Kと室温において実験室単結晶X線回折装置(Cu線源)を用いて2回軸反射(32/48)のピークプロファイル形状を測定した結果、低温でのブロードニングを観測した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定の通り、理想的な正20面体対称性をもち、且つ、電気抵抗にヒステリシス異常を示すCd-Yb準結晶の単結晶試料が得られた。また次年度予定する放射光実験の予備実験も終了しており順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られたCd-Yb準単結晶を用いて単結晶放射光X線回折測定を行い、抵抗ヒステリシスを観測した温度域での構造変化の有無を調査する。また、比熱測定などにより相転移の熱力学的な情報を得る。 一方、抵抗異常に伴うヒステリスの温度範囲や室温における正20面体対称性の有無は試料ごとに異なることが明らかとなった。これまでのところ、これらを制御するに至っておらず、その支配要因を明らかにすることが今後の課題である。
|
Research Products
(1 results)