2015 Fiscal Year Annual Research Report
準周期長距離秩序物質の低温相転移とフェイゾンに関する研究
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14J02924
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 庸公 東北大学, 多元物質科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 準結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
正二十面体準結晶における低温構造相転移の有無を明らかにする目的で、放射光X線を用いてCd-Yb正二十面体準結晶の回折図形の温度変化を調べた。この結果、80から180Kまでの温度範囲において基本反射ピークプロファイルの可逆変化を観測した。65から80Kの温度域でヒステリシスを伴う電気抵抗異常が観測されていること、半値全幅や格子定数の温度依存性には明瞭な異常はないことから、今回観測した可逆変化は相転移の前駆現象であると示唆される。さらに、Cd-Yb準結晶と同型であるCd-Mg-Yb、Zn-Sc及びCd-R(R=Gd, Dy, Tm)準結晶の結晶構造解析を試みた。Cd-Yb準結晶中の最大約60at.%のCdをMgに置換したCd-Mg-Yb準結晶について結晶構造解析を行った結果、CdサイトをMgがランダムに占有するのではなく特定のサイトを優先的に占有することが判明した。また、Mg置換によりF型超格子の短距離秩序が発達すること、そして約16at.%Mgで最も短距離秩序が発達し、Mg置換量が増加するに伴って次第に後退することが明らかになった。一方、Zn-Sc準結晶及びCd-R(R=Gd, Dy, Tm)準結晶について結晶構造解析を行った結果、ScとZnもしくはRとCdのケミカルディスオーダーが存在すること、そして同程度のフェイゾンデバイ‐ワラー因子を持つことが明らかになった。これらの準結晶についても低温構造相転移の有無を明らかにすることが今後の課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cd-Yb正二十面体準結晶について低温における基本反射ピークプロファイルの可逆変化の観測に成功し、準結晶における低温構造相転移の兆候を掴んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
Cd-Yb正二十面体準結晶について、電気抵抗異常の温度域よりも低温側での放射光X線回折測定を予定している。本実験より、低温相の構造が決定されることが期待される。
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Research Products
(8 results)