2014 Fiscal Year Annual Research Report
物性物理学と神経科学の融合による確率的神経回路網モデルの再構築と画像認識への応用
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14J02948
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 真樹 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 機械学習 / ディープラーニング / マルコフ確率場 / 条件付き確率場 / 確率伝搬法 / 平均場近似 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画書に記述した研究内容「(a)新潟大学医学部との共同研究で得られた猿の脳活動データを使って生体ニューラルネット(以下NN)の時間方向の挙動を捉える」および「(b)物性物理学の方法論を用いて,NN全体のふるまいを確率的にとらえた新しいNNモデルを導出する」の内容を実施した. はじめに,猿の生体NNの挙動が従来のフィードフォワード型のNNにはない非同期的なフィードバック構造を持つことを確認し,これを元に生体NNの非同期性とフィードバック構造をモデリングした新しいモデルを構築することを試みた.その際に,これらの構造を取り入れたモデルが部分的にマルコフ確率場(以下MRF)と呼ばれる確率モデルで表現できることを確認した. MRFモデルを用いた確率的なNNモデルはボルツマンマシンをはじめこれまでに複数提案されているものの,パラメータ数の増加に従い学習が困難になる欠点があった.この理由の一つとして,大規模なMRFモデルの効率的な学習方法が依然として確立されていないことが挙げられる. この問題に対処するため,申請者は大規模なMRFモデルを効率的に学習するための,新しい学習理論を提案した.具体的には,申請者の提案手法は大規模なMRFモデルを直接学習させるのではなく,これを擬似的に再現した小規模なMRFモデルを構築し,その学習結果を元の大規模なMRFの初期値とする.実験を通して,申請者は本提案手法が性能を同程度に保ったまま,従来手法の数十倍の早さで効率的に学習を行える方法論であることを実際に確認した.申請者はこれらの成果をまとめコンピュータビジョンのトップ会議であるIEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR)に投稿した結果,採択された.本研究は今年の6月に発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記述した研究内容(a), (b)のいずれにおいても申請者は当初の予定通りに実施した.具体的には,現状のMRFに関する問題点を明らかにし,それを解決するための方法論を新しく提案した.これらの成果をまとめ,コンピュータビジョンのトップ会議であるCVPRに投稿した結果,その方法論が十分有意義であると認められ,実際に採択された.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書通りに,研究計画(c)の内容を実施する.具体的には,昨年度に申請者が提案したMRFの学習に関する方法論を用いて,生体NNに比肩する規模の人工NNを構築し,これらのふるまいを観察,生体NNの時系列データと照合することで,本研究で実現する人工NNを評価するとともに,神経学の従来の方法論では得られない生体NNの詳細なふるまいを明らかにする. 次に,研究計画(d)の内容を実施する.具体的には,(c)で得られた人工NNを一般画像認識の問題に対して応用することで,従来手法を超える認識精度をもつ物体認識システムを新しく開発する.これらの成果をまとめ,国内外の学会にて発表を行う.それと平行して,昨年度の研究成果の雑誌投稿を狙う.最後に以上の研究を総括し,博士論文の執筆に取りかかる.
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Research Products
(2 results)