2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J02990
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増本 周平 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 作用素環論 / 公理的集合論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の計画通り, 国内の研究機関を訪問して集会に出席し, 作用素環論及び公理的集合論の両分野について見識を深めつつ, 有用な知識を収集し各種の技法について習熟することに専念した. 特に, 集合論の基本的なツールであるモデル理論を完備距離空間の考察に適するようにカスタマイズしたYaacov-Berenstein-Henson-Usvyatsovらの理論の習得に取り組んだ. この理論の適用対象には作用素環が自然な形で含まれており, 作用素環の集合論的な解析を行うための基幹技術として極めて重要である. さらに, この完備距離空間のモデル理論の見地から捉えることができる作用素環の性質のうち, 典型的かつ非自明な例として挙げられる『純無限』という性質について基本的な知識を収集した. 純無限性は元来作用素環を分類する立場から考察されていたもので, 既によく研究されている一方, この性質から導られている諸結果はしばしば代数的でありモデル理論に還元しやすいため, この性質についてまず精通することは今後応用についての研究を行う上でおおいに意義がある. この他, 周辺知識として作用素環論ではI型C*環の諸性質について学び, 集合論では反復強制法と呼ばれる技法を習得した. モデル理論の見地からは『I型』という性質は純無限性に比べ少し複雑だが作用素環論の立場ではやはりよく研究されており, 同様に応用研究に期待が持てるものである. また反復強制法は集合論の基本技術である強制法のバリエーションの1つであり, この技法により無矛盾性が証明される命題の多くが集合論の応用において広汎に利用されるという意味で重要なものである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を進めるために必要な知識がまだ少し残っている. 具体的には, 前述の完備距離空間のモデル理論の習得が不完全である.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き完備距離空間のモデル理論の習得に取り組み, これを速やかに終わらせる. しかるのちに, 習得した知識をもとに作用素環のモデル理論的な考察を推し進める.
|
Research Products
(2 results)