2014 Fiscal Year Annual Research Report
ロボットを用いた自由曲面板厚評価システムOrthrosの開発
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14J03029
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
奥川 裕理恵 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 高精度形状データの取得 / 最適な板厚方向の定義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究室では薄板加工品のための板厚測定システムを開発している.本研究はこの板厚測定システムを利用して測定可能な製品形状を拡大することを目的としている.それを達成するために平成26年度は1)垂直な側面の高密度形状測定,2)表面テクスチャを持つ製品の測定に取り組んだ.以下にそれぞれの内容を示す. 1)垂直な側面の高密度形状測定 従来は一方向からのみレーザーを照射して形状測定していたため,垂直な側面部分では測定間隔が疎になる,測定誤差が大きくなるという問題があった.そこで初期形状測定と追加形状測定という2段階の形状測定を行うこととした.まず初期形状測定では従来通り一方向からのみ測定を行い,初期形状データを取得した.追加形状測定では,レーザーの入射角度から測定誤差が増大する箇所を判定して初期形状データから除去し,除去領域に最適な測定位置・姿勢を生成して測定を行った.そして取得した2つのデータを合成することで全測定範囲において高密度・高精度な形状データを取得することができた.本システムでは形状データを用いて板厚測定を行うため,形状データの密度・精度の向上により板厚測定精度を向上させることができる. 2)表面テクスチャを持つ製品の測定 近年の薄板加工品の中には,触覚・視覚品位や機械的性能向上のために表面にテクスチャ加工されている製品がある.表面テクスチャによる製品裏表の形状差異は,最適な板厚方向の定義を必要とする.そこで我々は製品のCADデータを使用して板厚方向の定義を行った.テクスチャを含む実製品を測定した形状データとテクスチャを含まないCADデータをベストフィッティングさせ,CADデータの法線方向を形状データに投影することで,形状データに対する板厚方向を決定した.これによりテクスチャ形状の影響を受けずに板厚方向を決定することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度における研究計画として挙げた1)垂直な側面の高密度形状測定,2)表面テクスチャを持つ製品の測定,3)補間のための代表点決定方法の検討の3つの内容のうち,1)2)について有益な研究成果を得ることができたため,概ね達成できていると考える. 1)について,単純形状については実装できている.現在はこの結果を元により複雑な形状へと対象を広げている. 2)については,CADデータを使用した最適な板厚方向の定義方法を確立した.測定実験より,板厚測定データから製品全体の板厚変化とテクスチャによる板厚変化の両方が確認できた. また3)については決定方法検討の際に,様々な特徴を持つ製品の形状データを用いた検証が必要になる.実際の決定方法については構想段階に留まっているが,検討に必要な形状データを高精度に取得できる環境を1)によって整えることができたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に,平成26年度に取り組んだ内容の改善と,レーザーの多重反射を考慮した板厚測定について取り組む.平成26年度に取り組んだ内容について,それぞれ以下に示すような改善を行う. 1)垂直な側面の高密度形状測定に関しては,対象形状の拡大に取り組む.これにより実用性の向上を目指す. 2)表面テクスチャを持つ製品の測定については,CADデータを使用して板厚方向を決定できるようにしたが,今後は測定した形状データから直接,板厚測定方向を算出することに取り組む.形状データから製品概形とテクスチャ形状を分離したデータを取得することで,任意に板厚方向を決定できるようにする. 3)補間のための代表点決定方法の検討については,1)で高密度に取得した形状データをもとにして実験的に最適な決定方法を検討する. レーザーの多重反射については,測定した形状データをモデル化して光線追跡法により多重反射の予測シミュレーションを作成する.そしてシミュレーション結果から多重反射を回避するような測定経路を生成して,その影響を受けない板厚測定を実現する.
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Research Products
(5 results)