2014 Fiscal Year Annual Research Report
位相幾何学のグラフ理論への応用とホモトピー理論への組み合わせ的アプローチ
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14J03035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤内 翔太 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グラフ / 彩色数 / 順序複体 / フロベニウス複体 / 多次ポワンカレ級数 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、位相幾何学のグラフ理論への応用に関して述べる。今年度の成果としては、頂点数と各頂点の次数が与えられたときにその次数を持つグラフ全体の同型類を計算機を用いて列挙する手法を確立したことが挙げられる。これにより、グラフの彩色数等を計算機を用いて調査する際に効率的な計算を行うことができる。 次に、ホモトピー理論への組み合わせ的アプローチに関して述べる。離散的、組み合わせ的な世界とホモトピー的な世界を関連付ける手段として半順序集合に単体的複体を対応させる順序複体関手について研究を行っている。今年度は、その特別な場合であるフロベニウス複体について研究を行った。フロベニウス複体は、有限生成かつ消約的な加法モノイドで非自明な可逆元を持たないもの(アファインモノイドと呼ばれる)とその非零元との組に対して定まる単体的複体である。 研究の結果として次の定理を得た。2つのアファインモノイドとそれぞれの可約元をひとつずつ固定する。これらのアファインモノイドの直和において、先ほど固定した2つの可約元を同一視したモノイドを考える。このとき、この操作で得られたモノイドは再びアファインモノイドとなり、そのフロベニウス複体はもとの2つのアファインモノイドのフロベニウス複体と球面のジョインのウェッジ和とホモトピー同値になる。 この定理の系として、上記のように構成されたアファインモノイドの多次ポワンカレ級数が、もとの2つのアファインモノイドの多次ポワンカレ級数の積をある多項式で割ったものになることが分かる。 特に、もとの2つのポワンカレ級数が有利的であるならば、得られたアファインモノイドのポワンカレ級数もまた有利的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フロベニウス複体のホモトピー型の計算について進展があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
位相幾何学のグラフ理論への応用に関しては、今年度の成果をもとに計算機実験を進める。 ホモトピー理論への組み合わせ的アプローチに関して述べる。これまでは順序複体のホモトピー型に注目して研究を行ってきたが、オーソスキーム複体と呼ばれる、順序複体に距離を入れた空間について研究を進めたいと考えている。特に、半順序集合の組み合わせ的性質と、そのオーソスキーム複体の曲率に関する性質の関連を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(4 results)