2014 Fiscal Year Annual Research Report
運動実施時間帯の違いは24時間の脂肪燃焼量に影響するか
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14J03079
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩山 海渡 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | エネルギーバランス / 早朝空腹時の運動 / 脂質酸化量 |
Outline of Annual Research Achievements |
体脂肪を減らすには運動が有効であることが広く知られているが、運動で消費した分のエネルギーを食事から補い、24時間のエネルギーバランス(摂取量と消費量の差)が等しい条件においては、運動をしてもしなくても24時間の総脂質酸化量は変わらないことが報告されている。しかし私たちの研究によって、同じ運動であっても早朝空腹時の運動は夕方に実施する運動と比べて24時間の脂肪燃焼量が多いことを示した。この内容はJournal of Applied Physiologyに投稿し、受理された。本研究では時々刻々と変化するエネルギーバランスの経時変化を図示することで、一時的なエネルギー不足の度合い、特に炭水化物に由来するエネルギーの不足が24時間の脂質酸化量に影響する可能性を示した。 しかし本研究は運動をしない日の測定(対照試行)が含まれていないため、早朝空腹時に実施した「運動そのもの」が24時間の脂質酸化量を増大させたことを明示することができず、課題として残っている。また、ガス代謝の測定のみであるため、どのようなメカニズムで起こった事象かを明らかにすることはできない。さらに、一過性の代謝変動を検討したが、長期的な影響の検討も必要となってくる。以上の課題を解決することが今後の研究目的と考えている。 このような残された課題を解決するための研究をすでに始めており、次年度に報告する準備を進めている。これにより、脂質酸化量を増大させることが目的であれば早朝空腹時に実施することが効果的であることを明らかにする。同じ運動であっても“いつ”運動するかの違いによって、その効果が変わってくることを示すことは、運動処方を考えるうえで有益な情報となることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
早朝空腹時の「運動そのもの」が24時間の脂質酸化量を増大させるか否かを確認するための研究デザインを設定し、予定していた被験者すべての測定が終了している。現在はデータを整理し、投稿する準備を進めている段階であり、当初の計画よりもやや早い進捗状況であると言える。 また、すでに次の研究開始に向けた準備を進めており、研究を開始するための機材および採血が可能な人員の確保、分析方法の確立を急いでいる。所属研究グループでは初めての試みとなる血液を扱った研究デザインであり、その準備にやや時間を要しているが、研究開始の目途は立っている。 総じて、本年度の達成度はおおむね順調であると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に投稿した論文の査読者から多くの指摘を頂き、研究課題である早朝空腹時の運動が24時間の脂質酸化量を増大させることを示すために必要なことを認識した。概ね当初の研究計画に沿って進めていくことになるが、生化学的な指標についての検討を予定より幅広く実施していく。長期的な運動の効果を追及する前に、一過性の運動の効果を血液中の指標をもとに検討していくことを次年度最初の課題として進めていく。具体的にはグルコースやインスリンなど広く一般的に測定されている指標の他、血中の遊離脂肪酸、さらにはその組成にまで踏み込んだ詳細な検討を実施し、研究を遂行していく。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Transient energy deficit induced by exercise increases 24-h fat oxidation in young trained men2015
Author(s)
Kaito Iwayama, R Kawabuchi, I Park, R Kurihara, M Kobayashi, M Hibi, S Oishi, K Yasunaga, H Ogata, Y Nabekura, K Tokuyama
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Journal Title
Journal of Applied Physiology
Volume: 118
Pages: 80-85
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] LECT2 functions as a hepatokine that links obesity to skeletal muscle insulin resistance2014
Author(s)
Fei Lan, H Misu, K Chikamoto, H Takayam, A Kikuchi, K Mohri, N Takata, H Hayashi, N Matsuzawa-Nagata, Y Takeshita, H Noda, Y Matsumoto, T Ota, T Nagano, M Nakagen, K Miyamoto, K Takatsuki, T Seo, K Iwayama, K Tokuyama, S Matsugo, H Tang, Y Saito, S Yamagoe, S Kaneko, T Takamura
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Journal Title
Diabete
Volume: 63
Pages: 1649-1664
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Transient energy deficit after exercise performed in a postabsorptive state increases 24-h fat oxidation2015
Author(s)
Kaito Iwayama, Ryosuke Kawabuchi, Insung Park, Reiko Kurihara, Kazuteru Nakamura, Masashi Kobayashi, Sachiko Oishi, Masanobu Hibi, Koichi Yasunaga, Hitomi Ogata, Yoshiharu Nabekura, Naomi Omi, Kumpei Tokuyama
Organizer
ACSM's 62nd Annual Meeting
Place of Presentation
San Diego, California
Year and Date
2015-05-26 – 2015-05-30
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[Presentation] Exercise increases 24 h fat oxidation if performed before breakfast2014
Author(s)
Kaito Iwayama, Ryosuke Kawabuchi, Insung Park, Reiko Kurihara, Kazuteru Nakamura, Masashi Kobayashi, Sachiko Oishi, Masanobu Hibi, Koichi Yasunaga, Hitomi Ogata, Yoshiharu Nabekura, Naomi Omi, Kumpei Tokuyama
Organizer
3rd international conference on recent advances and controversies in measuring energy metabolism
Place of Presentation
花王株式会社(東京都墨田区)
Year and Date
2014-10-10 – 2014-10-12
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