2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J03190
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天龍 洋平 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 共有資源 / 経済動学 / 所有権 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目の研究計画は,次の二つであった.一つ目は,これまで私が行ってきた研究をさらに進めること.二つ目は,集積型技術が必要とされる財を生産する産業の構造把握と科学の共有地問題の動学的定式化の方法を模索することであった. 一つ目の計画は,まず企業の広告活動が他の企業にも正の外部効果があるような経済で,生産技術が異なる企業の研究開発活動が,企業の価格付けと広告活動にどのような変化を与えるのか,またそれらの変化が企業の市場シェアと利潤,そして消費者厚生にどのような影響を与えるのかについて部分カバー市場と完全カバー市場の2つの場合についてそれぞれ研究した.それらを,“Welfare Analysis of Dynamic Voluntary Advertising in Covered Markets” と“Dynamic Voluntary Advertising under Partial Market Coverage” にDiscussion paperとしてまとめた.そして国内研究会と国際学会であるWEAI 11th International Conferenceにて口頭発表を行った. つぎに,共有資源の共同利用についての動学的な研究である,“The Role of the Private Sector under Insecure Property Rights” を国際査読付き学術誌に掲載されるべく改訂作業を行った. 二つ目の計画は,先行研究をサーベイし,これらの研究での議論や提案されているモデルが経済成長理論で扱われている定式化にどの程度応用可能か,また応用が難しい場合はどのような修正が必要かを検討することであった.1年目は,研究計画に基づき既存研究の調査を行い,現在,モデルの定式化の検討とその解析的な計算を行っているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内報告1件と海外報告1件,そしてDiscussion paperが新規に2本,改訂が1本と実績の蓄積は概ね順調に進展している.申請書で挙げた今年度の計画は2つあった.1つ目は,これまで私が行ってきた研究をさらに進めることである.これに関しては順調に進んでおり国際学術誌に掲載されるべく改訂作業を行っているところである.2つ目は,集積型技術が必要とされる財を生産する産業の構造把握と科学の共有地問題の動学的定式化の方法を模索することである.1つ目の計画遂行に予想していたよりも時間を要したことから,若干の遅れはある.しかし,現在モデルの定式化の検討とその解析的な計算を行っていることから,おおむね順調に進展していると言える.以上より「おおむね順調に進展している」とする.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は以下の2つを中心に進める.1つ目は企業所有権の問題と経済成長の関係である.先進国企業は研究開発を行い,製品の生産を国内,あるいは海外でFDIかライセンシングを通じて行う.企業所有権の選択を経済成長モデルに応用し,模倣のしやすさが企業の生産構造にどのように影響を与えるのか,また海外の特許強化が経済にどのような影響を持つのかを理論的に研究する.2つ目は,反共有地の悲劇を扱う成長モデルを構築することである.昨年度の共有地に関する研究と文献調査して得られた知見を応用し,どのような状況で反共有地が生じるのか,そしてそれが経済成長に与える影響を理論的に研究する.
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