2015 Fiscal Year Annual Research Report
Phd遺伝子欠損マウスを用いた低酸素・高所トレーニングの効果・リスクの検討
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14J03209
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
布宮 亜樹 東北大学, 医工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | Phd2 / 低酸素応答 / トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究により、Phd2遺伝子欠損(Phd2 cKO)マウスに4週間の持久性トレーニングを行わせると、コントロールマウスに比べて有意に高いトレーニング効果が得られることが明らかになっており、Phd2遺伝子欠損によるHIF経路の活性化が持久性トレーニング効果向上に効果的であることが示唆された。しかし、トレーニング効果の主因は明らかではなかったため、Phd2 cKOマウスにおける持久性トレーニング実施時の骨格筋の適応について更に詳細な検証を行った。その結果、Phd2 cKOマウスの腓腹筋では、運動負荷のない状態で毛細血管密度の上昇が見られる一方で筋線維サイズが低下し、筋線維タイプが変化している可能性が示唆された。そこで免疫染色による筋線維タイプ同定分析を行ったところ、Phd2 cKOマウスでは遅筋線維(タイプ1)の数の増加が見られた。このことから酸素利用能力も向上していることが考えられたため、酸化系代謝能力の指標としてSDH染色を行ったところ、Phd2 cKOマウスの運動群ではSDH陽性筋線維が腓腹筋外縁部まで広がるように増加していたのに対し、非運動群ではSDH陽性筋線維の増加は見られなかった。このことから、Phd2遺伝子欠損により増加した遅筋線維は酵素活性を伴わないが、持久性トレーニングを行うことで酸化系酵素活性が得られ、酸素利用能力が向上した可能性が示唆された。 本年度の研究により、持久性トレーニング効果の向上には、Phd2遺伝子の欠損だけではなく、持久性トレーニングとの組み合わせが重要であることが示唆されたが、更に詳細な検証を進めるため骨格筋特異的Phd2遺伝子欠損マウスを用いた検証を行う予定であり、既に正常にマウスが誕生することを確認済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Phd2遺伝子欠損による持久性トレーニング効果上昇の主因を突き止めるにあたり、ヘマトクリット値の上昇や、血管新生による酸素運搬能力の向上がトレーニング効果向上を誘導することが推測されたが、Phd2遺伝子欠損マウス非運動群では持久性走運動能力の上昇は見られなかったことから、Phd2遺伝子欠損マウスの運動群・非運動群間では、骨格筋の適応に違いがあるのではないかと考え、当初予定していた毛細血管の三次元ジメージングに先立ち、骨格筋の網羅的検討を行うこととした。その結果、Phd2 cKOマウスにおける持久性トレーニング効果向上には、トレーニングによる酸素利用能力の向上も不可欠であることが明らかとなり、トレーニング効果の主因を明らかにする目的を達成する大きなステップとなった。これに加え、当初の計画であったイメージング解析も既に着手しており、これによりPhd2遺伝子欠損によるHIF経路の安定化がもたらす血管新生が酸素運搬能力向上に寄与する正常な血管であるか明らかにする予定である。更に骨格筋特異的なPhd2遺伝子欠損マウスの交配にも成功していることから、計画以上の進展があったものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Phd2遺伝子欠損による持久性トレーニング効果の向上にはトレーニング実施による骨格筋の適応が必要であることが明らかとなったため、骨格筋のみでHIF経路の活性化を誘導した場合どのような適応が起こるかを、骨格筋特異的Phd2遺伝子欠損マウスを用いて検証する予定である。更に、全身Phd2遺伝子欠損マウスと骨格筋特異的Phd2遺伝子欠損マウスについて毛細血管の三次元イメージングによる形態的分析を行い、骨格筋における血管新生に違いが見られるか、またPhd2欠損により新しく形成が誘導される血管が形態的・機能的に正常であるかを明らかにする予定である。併せて近赤外in vivoイメージングを用いた血流状態の解析も行う。これらの検証で得られる結果と二年目までの研究により明らかになった結果を集約し解析を行うことにより、骨格筋適応による酸素利用能力の向上と、HIF経路活性化による酸素運搬能力の向上それぞれがトレーニング効果にもたらす影響を明らかにすることができると考えている。
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Research Products
(1 results)