2014 Fiscal Year Annual Research Report
初期ドゥルーズ哲学における存在論的な永久革命としての永遠回帰思想の研究
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14J03215
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鹿野 祐嗣 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 哲学 / 精神分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究課題は「初期ドゥルーズ哲学における存在論的な永久革命としての永遠回帰思想の研究」であり、ドゥルーズの主著『差異と反復』(1968)と『意味の論理学』(1969)を「存在論的な永久革命」という概念を軸にして体系的に研究し、まだ明らかになっていないその全容を詳細に提示するというものである。 前年度一つめの業績としては、脱構築研究会主催の「ジャック・デリダ没後10年シンポジウム」(於早稲田大学2014年11月21日)プレセッションにて、「宙づりと賭け――デリダとドゥルーズの1968年」と題する発表をおこなった。内容としては、申請者の研究課題を軸として、没後10年を迎えたデリダの思想とドゥルーズの哲学との比較を「宙づり」と「賭け」という二つの形象を基におこない、それを彼らの思想が展開された1968年の熱気と絡めながら革命と出来事の問題を扱った。一流のデリダ研究者が全国から集う記念碑的な大会において、若手として参加発表し、質疑応答や意見交換を交わしたことは、申請者の研究にとって大きな刺激であった。 二つめの業績としては、「日仏哲学会」2015年度春季大会(於大阪大学2015年3月21日)にて、「ドゥルーズの『意味の論理学』におけるエディプス・コンプレックスをめぐって」と題する発表をおこなった。これは留学中から前年度の夏頃まで継続して研究を続けてきた『意味の論理学』における精神分析の意義をめぐる研究発表であり、かつて申請書にも記載していたように、まさに申請者の研究課題遂行にあたって欠くことのできないテーマに関する初めての全国学会発表であった。結果、学会でも高評価を得られ、申請者の研究の成果を確証する業績となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者は、留学終了に伴う様々な事務手続きに忙殺されたため、研究そのものは順調に続けていたものの、年度の前半には残念ながら特に記すべき業績を挙げる機会はなかった。学会が年度の前半に集中する傾向があること、そして学会の発表募集や論文投稿の締め切りは前年度であることが多く、その時期には留学中で特に用意をしていなかったことが大きかったと言えよう。よって、申請者の研究が具体的な業績となるのは1年ずれこみ、2015年から2016年にかけての業績が増えることになるだろう。ただし、それでも博士論文執筆は順調に進んでいたことと、秋や年末にいくつかの重要な学会発表をおこなう機会があり、そこで大きな成果を得られたことから、研究計画は当初の想定以上に進展したと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
「初期ドゥルーズ哲学における存在論的な永久革命としての永遠回帰思想の研究」を進展させるべく、今後も継続してドゥルーズに関する文献購読と論文執筆を進める。 業績としては、現時点で既に、インドのマニパル大学で2015年6月5日から7日にかけて開催されるThe Third International Deleuze Studies in Asia Conference 2015にてSuspension and play: a difference of strategy between Deleuze and Derridaと題する研究発表をおこなうこと、7月の哲学若手研究者フォーラムでワークショップをおこなうことが決定している。 研究内容としては、『意味の論理学』の力動的発生の研究をさらに深化させ、静態的発生の研究にも取り組んでいきたい。
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Research Products
(2 results)