2014 Fiscal Year Annual Research Report
侵略的外来植物ブタクサの急速な適応進化に関わる遺伝基盤を解明する
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14J03225
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
深野 祐也 東京農工大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 侵入生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
外来種の侵入は、在来の生態系に対して、また経済・衛生的な悪影響を与えるため、その管理・防除が重要な課題となっている。外来種は原産地と異なる物理的・生物的環境を経験しているため、侵入先の環境で素早く適応進化することが知られている。しかし、このような外来種の適応進化が、外来種の侵略性やその防除・管理とどのように関連しているのか、またその適応進化の遺伝的背景はどのようにものなのか、に関してはほとんど解明されていなかった。そこで本研究では、北米から侵入した外来植物のブタクサ・オオブタクサと、ブタクサの天敵であるブタクサハムシを対象に、侵入後の適応進化過程、適応進化が侵略性や防除に与える影響、そしてその遺伝的背景を明らかにすることを目的に研究をおこなう。 本年度は、ブタクサの原産地である北米大陸でブタクサ・オオブタクサの種子とブタクサハムシ生体の採集を行い実験室内での栽培・飼育系を確立した。また、それらの侵入地(日本)集団の個体との交配実験を行い、その後の遺伝的な研究の基盤づくりとした。さらに、これらの実験と並行して、ブタクサハムシの世界的な侵入の履歴を推定する研究も行った。ブタクサハムシは1995年以降に東アジアに侵入しただけでなく、2013年にイタリア・スイスでも発見されている。そこで、ただちにイタリアの研究者とコンタクトを取り、北米・日本・ヨーロッパで採集したブタクサハムシのmtDNAの遺伝解析を行う共同研究を開始した。その結果、日本のハムシ集団は原産地に比べ遺伝的多様性が低く単一の侵入由来であること、またヨーロッパの集団は日本集団とは別系統であるということが推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブタクサ・オオブタクサという植物側の適応進化とその遺伝的基盤に関しては、室内での栽培・交配が難しく、思ったより進捗が悪かった。一方で、ハムシの研究に関しては、飼育が容易であり形質測定も順調である。また、ブタクサハムシの新たな地域への侵入をいち早く捉え、その侵入の履歴を推定するという速報性が重要な研究を素早く展開できたのは評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、交配実験により作成したブタクサ・オオブタクサのF1世代を発芽させて形質測定と遺伝解析を行う。また本年度の実験により明らかになったブタクサハムシの侵入の歴史に関する研究を論文化する。
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Research Products
(3 results)