2014 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉組織の機能化における核-細胞質間情報ネットワークの分子動態の解明
Project/Area Number |
14J03241
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
打野 亮 新潟大学, 自然科学系, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ラミン |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物に特有な核膜(nuclear envelope)は、遺伝情報であるDNAを含む核質を細胞質から分離するとともに、ゲノム機能の制御に重要な役割を持つ構造体である。この核膜を構成する成分の1つである核ラミナは、AタイプおよびBタイプラミンによって形成され、Aタイプラミン遺伝子の変異は筋ジストロフィーや早期老化症などの遺伝子疾患の原因となることが分かっている。当研究室では、Aタイプラミン遺伝子の変異により、筋肉組織中の腱細胞の細胞骨格が脆弱化し、特にspectraplakinファミリー細胞骨格タンパク質Short stopの細胞質ネットワークが不安定化していることを明らかにしてきた。研究初年度では、Aタイプラミン-Short stop間の相互作用の分子実体を明らかにするため、筋肉組織の形成におけるAタイプラミンの機能ドメインの同定を試みた。その結果、AタイプラミンのTailドメインがショウジョウバエの筋肉組織の腱細胞の機能に必須であることを見出すことができ、Aタイプラミン-Short stop間の相互作用を仲介するリンカータンパク質の結合サイトがTailドメイン内に存在している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Aタイプラミン遺伝子のノックアウト体に見られる筋肉形成異常の機構を明らかにするため、Aタイプラミンの機能ドメインの解析を行った。Aタイプラミンをドメイン化して発現させたのみでは変異への回復効果が見られず、解析に大きな障壁となった。そこで、他のタイプのラミンとキメラを作成し、ドメインシャッフリングを行うことによりAタイプラミンの機能解析ができることを見出し、研究を進展させた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に引き続き、Aタイプラミン-Short stop間の相互作用の分子実体をより詳細に明らかにする。初年度では、筋肉組織の形成に関与するAタイプラミンのドメインを大まかに特定できたので、今後、さらに詳細なドメインの絞り込みを行う。さらに、欠失型Short stopタンパク質を産生するトランスジェニックショウジョウバエを作製し、細胞内での動態や局在を解析することで、Short stopタンパク質の核膜結合ドメインを同定する。以上の結果により得られたAタイプラミンおよびShort stopのドメインを用いて、相互作用する因子を分子遺伝学的または生化学的にスクリーニングし、Aタイプラミン-Short stop間の相互作用の分子実体の解明に迫りたい。
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Research Products
(7 results)