2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J03342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鄭 谷心 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 中国近現代 / 国語教育(中国語教育) / 生活作文 / 教育史 / 教育方法論 / 学力論 / カリキュラム論 / 文化交渉学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、児童の生活性・心理性と教科の系統性・技術性のバランスを取った作文教育のあり方を考究することにある。日本における生活綴方運動を照らし合わせつつ、中国における新文化運動・白話運動などの作文教育改革運動における国語教育改革実践家の葉聖陶らについて研究する。この研究により、生活・経験を重視するような作文教育を体系化・科学化する過程において、どのような実践上の意義と課題をもたらしたのかを明らかにするとともに、教育方法論的な示唆を得る。 今年度は、『中学生』を創刊した夏メン尊という国語教育者を中心に調査・研究を行った。これらの文献において、日本では入手困難であるものが多いため、半月に渡って海外における文献調査を行った。平成26年9月4日から7日まで、北京師範大学課程と教学研究院院長・中国教育学会教学論専門委員会会長王本陸を訪問し、情報収集を行った。8日から13日まで、江南大学人文学院院長陳明選を訪問し、雑誌『中学生』に関する文献を収集した。14日から18日まで、上海図書館・上海科学技術情報研究所を訪問し、作文教育に関する研究誌の調査を行った。文献研究にもとづき、そこで目指されている学力像や作文教育の方法論を分析・検討した。これらの調査・研究は、日本教育方法学会誌『教育方法学研究』における査読付き論文の掲載・発表という成果に結びついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
海外文献調査において、当初予定された大学図書館だけではなく、北京師範大学課程と教学研究院院長・王本陸の紹介で、研究対象である葉聖陶が初代社長を務めた人民教育出版社と同社の専属図書館を見学・閲覧することが実現し、予想外の収穫を得た。それらの文献に基づいて学術論文を執筆・投稿した結果、査読者からは、本論は「1930年代の中国の国語教育(中国語教育)の学力論・教育方法論に関して、新しい切り口で追究したもので、研究としての独創性が高い」と評価された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究において、これまで考察が不十分なカリキュラム論の部分を視野に入れて研究と調査を進める。大学図書館に所蔵している『教育雑誌』などの文献を通して、カリキュラム改革に関する理論と実践の背景を明らかにする。また、教育方法学会とカリキュラム学会・国語学会に継続的に文献調査を行うことで、最新の研究動向をおさえる。それらの研究成果を博士学位論文としてまとめる。最終的には、著書として世に送り出し、文化と社会に還元していきたい。
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Remarks |
一部の研究成果は京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI)のwebにも掲載されている
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