2014 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の熱中症予防の検討:体温上昇時に起こる過換気と脳血流低下に着目して
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14J03351
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
辻 文 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 温熱性過換気 / 高体温 / 脳血流低下 / 過換気 / 熱中症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は体温上昇時の過換気および脳血流低下反応に及ぼす加齢の影響を明らかにすることを目的としている。本年度は、まず若年男性を用いて、体温上昇時の換気および脳血流反応に及ぼす動脈血中CO2分圧の影響を検討した。健常男性14名を対象とし、水温41℃の温浴による安静加温を1) CO2を吸入し呼気終末CO2分圧を通常レベルで一定に維持する場合 (CO2条件) と2) 通常空気吸入 (Con条件) の2条件下で行った。実験は食道温 (深部体温の指標) が39℃に達するか、被験者が温熱に耐えられなくなった場合に終了した。その結果、食道温上昇に対する換気亢進反応の感受性 (食道温と換気量の関係における回帰直線の傾き) はCO2とCon条件間で差はみられなかった。中大脳動脈血流速度 (脳血流量の指標) は両条件で加温時間に伴い減少した。加温終了時 (食道温39℃) においてCO2吸入によってCon条件で見られた脳血流速度低下の36.6%が回復した。これらの結果から、若年男性において安静時の体温上昇に伴う換気亢進反応はそれに付随する動脈血中CO2分圧低下の影響を受けないこと、さらに安静加温時の脳血流低下は約40%を動脈血中CO2分圧の低下によって説明できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の予定通り実験を終え、この成果を国内および国際学会にて発表した。この研究成果は、現時点で論文作成が終了し国際誌への投稿準備に取り掛かっている。したがって、現在までの達成度はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は運動時における体温上昇時の換気亢進と脳血流低下反応に及ぼす動脈血中CO2分圧低下の影響を詳細に調べるとともに、安静加温時と運動時におけるこれらメカニズムの比較を行っていく必要がある。
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Research Products
(3 results)