Outline of Annual Research Achievements |
可視光駆動による水の酸化反応を達成するには, 高い可視光捕集能, 十分長い励起寿命, 水系界面での耐久性, および高い酸化力を有する光捕集材料が欠かせない. しかしながらこれら要件を満たす材料が乏しいことから, 可視光の有効利用が困難であった. これに対し, 本研究では可視光応答性と耐久性を両立させた新規フッ素導入ポルフィリンや環縮小ポルフィリンを有機合成化学的に創生, 光捕集系として検討しており, 現在までに分子による人工光合成構築が可能な系をいくつか見出している (Yamamoto, M. et al. Chem. Sci. 2016, 7, 1430-1439; Chem. Commun. 2016, 52, 13702-13705; Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 56, 3329-3333). この探索過程において, 水系界面に展開した分子触媒による水の酸化反応およびこれに付随する界面電子移動が依然として速度論的・熱力学的にボトルネックであること, および水性界面および水溶液での分子の耐久性が問題であることがわかった (Yamamoto, M. et al. ChemSusChem 2016, 81, 1028-1044). 本研究で得られた知見を踏まえ, 今後, これら課題を克服可能な材料を開発・利用することにより, より高効率の人工光合成系の構築が可能になると考えている.
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