2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の極性形成を規定する神経系特異的スプライシング機構の解明
Project/Area Number |
14J03463
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大西 隆史 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | スプライシング / protrudin / 極性形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、神経細胞における極性形成に寄与するタンパク質protrudinの神経細胞特異的なスプライシングの制御メカニズムの解明を解明を通じて、神経細胞における極性形成とスプライシングの新たな関係性を示すものである。 本年度は、既に作成されたprotrudinのスプライシングをモニターすることのできるベクターを用いて、protrudinの神経細胞特異的スプライシングに必要な配列 (シス因子) の同定を行った。作成したベクターはprotrudinの神経細胞特異的に選択されるエクソン (以下エクソンL) を含む約1.8 kbpの配列に、GFPとRFPをタンデムに繋いだものであり、神経系特異的なスプライシングを受けるとGFPが、恒常型のスプライシングではRFPがそれぞれ発現するようになっている。 In silico 解析によりprotrudinのエクソンLの近傍の配列を検索し、特徴的なリピート配列や恒常型では見られない配列、および幾つかのRNA結合タンパク質の認識配列を抽出した。これらの配列にPCR法を用いて変異を導入したベクターを作成し、神経系細胞株Neuro2aまたは非神経系細胞株NIH 3T3に導入し、蛍光の変化を観察した。その結果、エクソンLの前方に見られるリピート配列に変異を導入した場合において、神経細胞特異的スプライシングが消失することがわかった。また、エクソンLの3' ssに存在する非典型的な配列に変異を導入した場合、NIH 3T3においても神経細胞特異的スプライシングが生じることがわかった。 以上の結果より、神経細胞の極性形成において重要であるprotrudinの神経細胞特異的スプライシングを抑制/促進するシス因子の同定に成功したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、神経細胞の極性形成に必要なタンパク質であるprotrudinのスプライシングに必要なシス因子、トランス因子のうち、シス因子の同定をすることができた。この配列は(1) protrudinの神経細胞でのスプライシングを"促進"する配列と(2) protrudinの非神経細胞でのスプライシングの"抑制"をする配列の2種類であった。これらの配列を利用したスプライシングの制御が単一の因子によるものか、それとも複数の因子によるものかはまだ未確定であるが、神経細胞における特異的スプライシングに必要な因子のうちの片方を同定できたことから概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの実験において、神経細胞の極性形成を担うprotrudinのスプライシングに必要なシス因子 (RNA上の配列) を同定することができた。このシス因子に対するトランス因子の探索を行う。具体的には、このシス因子を含む野生型RNAと、シス因子に変異を加えた変異型RNAをそれぞれ調製し、神経系細胞株の核抽出物を用いた結合実験を行う。両者の結合物を当研究所のLC-MS/MSで解析し、野生型でのみ見られる結合物を同定していく。また同時並行して、RNAiライブラリーを用いた網羅的探索も行う予定である。
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Research Products
(2 results)