2014 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス基板上の高規則度ホイスラー合金薄膜形成と高性能スピントロニクス素子への応用
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14J03484
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 裕一 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | スピントロニクス / ゲルマニウム / スピンMOSFET / ホイスラー合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超低消費電力ディスプレイの実現を目指し、その第一歩の技術として、ガラス基板上への高性能スピンMOSFET形成とその動作実証を目標としている。ガラス基板上の高性能スピンMOSFETの実現のためには、その要素技術である半導体Geへの高効率スピン注入・検出、および低温ゲート形成技術の確立が必要である。
本年度、研究代表者はGeへの高効率スピン注入・検出の実証に向けて、スピン注入用強磁性電極材料としてホイスラー合金Co2FeSiに注目した。Ge上に分子線エピタキシー法を用いて室温でCo2FeSiを高品質形成した試料を横型スピン注入・検出素子に加工し、スピン注入実験を行ったところ、Ge中のスピン伝導を示す信号(スピン信号)をこれまで観測されてない温度(~200 K)で観測した。スピン信号に関する理論式とGeチャネルの抵抗率、およびスピン拡散長の温度依存性を比較することで、スピン注入・検出のさらなる高効率化に向けた指針を得た。さらに研究代表者は、スピンMOSFETの強磁性ソース・ドレイン電極とGeが反応しない低温(~250 ℃)プロセスで、スピンMOSFET用ゲートを形成する技術を確立した。まず、スピン素子作製時に用いていたAr+ミリングが、絶縁膜/Ge界面の界面準位を増加させることを、Ge上に形成した絶縁膜の静電容量-電圧特性を評価することで突き止めた。そしてその対策として低濃度の過酸化水素によるウェットエッチングをAr+ミリング後のGe表面に施すことで界面準位を低減し、スピンMOSFET構造でのゲート動作を実証した。これらの技術は、全てガラスの軟化温度(~400 ℃)以下で実証できており、ガラス上でのプロセスに適用可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、本研究の最終目標であるガラス基板上の高性能スピンMOSFETの創成に必要不可欠な基盤技術である、低温形成した高品質ホイスラー合金を用いた半導体チャネルへの高効率スピン注入・検出、および低温プロセスによるゲート形成とその動作を実証した。次年度は、これらの成果から得られた知見を基に、スピン伝導のゲート電圧変調、すなわちスピンMOS動作の実証に取りかかる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、スピン伝導のゲート電圧による制御を検討していく。これが実証されれば、スピンMOSFETの基本動作を実現したと言える。
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Research Products
(3 results)