2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタル上への単結晶ゲルマニウム薄膜成長と縦型スピン素子への応用
Project/Area Number |
14J03485
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河野 慎 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | スピントロニクス / ゲルマニウム / ハーフメタル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、シリコンプラットフォーム上に集積可能なハーフメタルソースドレイン縦型構造を有するGeチャネル縦型スピンMOSFETを作製するための要素技術を開発することを目的としている。本研究は、スケーリング則に依存してきた既存のシリコン大規模集積回路の性能向上に新たなブレークスルーをもたらす大変意義のある研究である。 本年度は、前年度までに完成した「Ge/強磁性金属」縦型構造を用いたスピン伝導素子の微細加工プロセスの開発やそのスピン物性の解明を目的とした。結晶成長技術によって成膜されたノンドープGe薄膜は、一般的にp型の電気伝導特性を示すことで知られている。p-Geを介したスピン検出は、その極めて短いスピン拡散長のため非常に困難であると言われているが、本実験で使用した「Ge/強磁性金属」縦型構造のp-Geの膜厚は、これまでに報告されているスピン拡散長よりも十分短くなるように分子線エピタキシー技術によって制御されているため、本構造を介したスピン検出が期待できる。そこで、電子線リソグラフィー・Arイオンミリング・スパッタリングなどの技術を駆使することによって、この縦型構造をスピン注入電極としたオリジナルのスピン伝導素子を作製し、純粋スピンのみに依存したスピン伝導現象を評価できる4端子非局所電圧測定を実施した。その結果、強磁性金属から電気的に注入されたスピンが、その偏極状態を保持したままp-Ge中を伝導したことを示す明瞭なスピン信号を検出することに成功した。本成果は、これまで不明瞭であったp-Geのスピン物性に関する情報を新たに世界に向けて発信する重要成果であり、「ハーフメタル/Ge/ハーフメタル」縦型スピン素子の実現に向けた大きな一歩でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「Ge/強磁性金属」縦型構造をスピン注入電極としたオリジナルのスピン伝導素子を開発したことで、これまで不明瞭であったp-Geのスピン物性を定量的に理解することができた。本成果は、p-Geスピントロニクスを大きく進展させるインパクトの高い成果であると同時に、最終年度の目標である「ハーフメタル/Ge/ハーフメタル」縦型スピン素子の実現に向けた大きな一歩でもあるため、当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本成果をまとめた論文を投稿中であり、早期に本技術の有用性を世界に向けて発信する予定である。最終年度は、これまで開発してきた「ハーフメタル/Ge/ハーフメタル」縦型構造の結晶成長技術と「Ge/強磁性金属」縦型構造のスピン伝導素子作製・評価技術を融合させ、「ハーフメタル/Ge/ハーフメタル」縦型スピン素子の実現を狙う。
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Research Products
(8 results)